こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
昨日は百条委員会の理事会が行われ、過日に行われた証人喚問において「偽証の疑いが濃厚」とされた証言について、委員会としてどのように取り扱うかの協議が行われました。
浜渦元副知事ら証言 偽書と認定|NHK 首都圏のニュース
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20170426/5545251.html
丁寧に進められた協議の中で、自民党を除く5会派が浜渦証人と赤星証人の発言の中に偽証があると主張しました。
自民党は偽証に問うことは困難という見方を示しましたが、見解に相違があるのは仕方のないことです。偽証の認定は委員会採決(多数決)で行われますので、次回の委員会で採決が行われることまで粛々と取り決められました。
ところが。
ここで都議会自民党の桜井ひろゆき委員長が休憩を申し出た後、休憩明けに突然
「無理やり偽証認定に向けた手続きが進められていくことは、到底受け入れることはできない」
として、委員長の辞任を宣言しました。さらに、後任の委員長ポストには自民党議員はつかないとも主張されました。
…これは主に3つの点から看過できない行動であり、非自民会派は辞任を認めるのではなく、委員長不信任案を発議・可決させることで一致しました。
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まずひとつ目は、「偽証の認定に向けた手続きを進めていくことが受け入れられない」と言いながら、そこまでの手続きを進めてきたのは委員長自身であるという点です。
百歩譲って、個人の信条によって委員長の辞任を申し出るのであれば、偽証の採決が取り決められる前に辞任の申し出をすればよかったはずです。そこまでは自分で仕切っておいて、前言を翻すというのは一体どういうことなのでしょうか。
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二つ目は、辞任発言の際に偽証認定について、披瀝した個人の見解の内容が問題だらけです。桜井委員長は
「偽証というより単なる記憶違い程度のもの」
「豊洲移転に関しては特段の問題が発見されておらず、偽証する動機が不明」
「根拠としている証拠書類も、いわゆるメモ程度のもの」
「(偽証認定を行うのに)曖昧かつ薄弱な理由で、数にモノを言わせている」
などの言葉を、次々と言い放ちました。
まずもって、個人の議員が意見を言うのであればともかく、公正中立な運営をする立場の委員長がこのような見解を任期中にぶちまけることは、信義則を破壊する行為です。
それは大前提として、発言の内容も極めて主観的であり、それこそ曖昧かつ薄弱なものです。
豊洲移転に関しては、東京都が合意書を隠蔽していたという「特段の問題」が発見されたことは、火を見るよりも明らかです。
参考:明らかになった16年前の真実。浜渦副知事らが締結した、「隠された確認書」が示すもの
http://otokitashun.com/blog/daily/14618/
こうした手続の重大な瑕疵を隠すために偽証を行うことは、十分に考えられます。
そして根拠としている証拠書類は、本当に「メモ程度のもの」なのでしょうか?
すべての書類をお見せすることは残念ながらできませんが、過日に行った情報公開請求により、東京都側の書類の一部を開示することができましたので、お約束どおり以下に掲載いたします。
これらは、浜渦証人が頑なに「合意書(平成13年7月)以降は、この問題に一切関わっていない。報告も受けていない」と主張し、自らの責任を回避しようとする証言に対して、偽証の証拠となるものです。
平成15年2月10日、合意書以降に時の市場長である碇山氏より、浜渦副知事への報告が行われ、また自ら指示もしていた議事録が存在します。日付も出席者もしっかりと記載されています。
「取扱注意」の刻印がなされ、百条調査権が行使されるまで、都側から提示されることのなかった資料の一つです。
こちらは浜渦都政下で行われていたと言われる、「お手紙」の実物です。こちらの内容からも、浜渦副知事に対する報告と、彼からの指示が敢然と存在していたことは明らかです。
こうした「お手紙」で事前に報告し、アポイントを取らなければ、浜渦副知事には面会することすら叶わなかったと言われています。
こちらも日付と、差出人の3名の部長の名前がしっかりと明記されており、また同様の資料が東京ガスからも提出されていることから、資料としての価値は高いものと考えられます。
こうした資料の価値を「単なるメモ程度」とするかどうかは、もちろん個人の判断です。しかし我々とて、専門家(弁護士)の見解を仰ぎ、証拠能力や法廷での争いをシミュレーションした上で、十分に闘えると判断して「偽証認定すべし」という主張を行っています。
また上記の2点以外にも、複数の資料・議事録が証拠として存在していることも付記しておきます。
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最後に3点目としては、突然の委員長辞任により、百条委員会が完全にスタック(停滞)することです。
特に「自民党が委員長ポストを手放す」と宣言したことにより、議会運営委員会という別の会議体で委員長ポストの再割り振りを行わないと、新たな委員長が選出できないというルールがあります。
通常、定例会の直前に行われる議会運営委員会の次回日程は5月末となっており、下手するとほぼ1ヶ月、百条委員会がストップする可能性すらあります。
これは百条委員会の停滞・混乱を狙って政局的な動きで委員長辞任を仕掛けてきているとしか考えられず、この行動については糾弾せざるを得ないところです。
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以上の理由により、自民党以外の委員は全員一致で委員長不信任案を提出することで合意したものです。28日(金)に委員会を開き、その旨が決議される見込みとなっています。
しかしながら、上記の通り議会運営委員会が開かれなければ、百条委員会を前にすすめることはできません。
議会運営委員会の委員長は自民党・高木けい氏になりますが、都税で運営されている百条委員会を円滑に進めるためにも、委員長解任(不信任)後は速やかに臨時の議会運営委員会を招集されることを強く求めるものです。
また進捗をご報告していきます。それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。