JKビジネスが「人身売買」だという米国務省

ほとんどの日本人は知らないしマスコミも相手にしていないが、一部のアメリカ人が真に受けて「日本は人身売買国家だ」と私にからんでくるので、事実をチェックしておこう。

2016年の米国務省の人身取引報告書は、日本を「人身取引撲滅のための最低基準を十分に満たしていない」国と評価し、ナイジェリアやバングラデシュなどと同じ「第2段階」とした。このレベルにランクされているのはG7諸国では日本だけで、「第3段階」に落ちると開発援助を制限される。

監禁や強要などによる人身売買は日本の法律で禁止され、警察が摘発する。日本政府が人身売買を許容している事実はない。ところが一部のNPOがAV出演強要と同じように事実無根の話をアメリカに売り込んでいるため、日本は10年以上、「第2段階」のままだ。アメリカ大使館訳を紹介しておこう。

日本人、特に、家出した十代の少女や、外国人と日本人の間に生まれて日本国籍を取得した児童およびその外国人の母親もまた、性的搾取の人身取引の 被害にさらされる。「援助交際」という現象や、さまざまな形態の「JK(女子高生)ビジネス」が、日本人児童の性的搾取を目的とする人身取引を依然として 助長している。

援助交際やJKビジネスが「人身売買」だという話は、日本人が読むと噴飯物だが、慰安婦問題で「日本人はセックス・アニマルだ」という偏見を植えつけられているアメリカ人には受けるようだ。しかし国務省の報告書に具体的な事実の指摘はほとんどなく、出ている数字は次の部分だけだ。

本報告書の対象期間中、[日本]政府が人身取引犯を 訴追および有罪にした件数と認知した人身取引被害者の数は増加したが、2015年に有罪判決を受けた27人の人身取引犯のうち、9人は罰金刑のみを受けた。

日本の外務省は「女子高生の13%が援助交際」の事件で「国連特別報告者」なるものを警戒し始めたようだが、この国務省報告書は今も海外の偏見の出典になっている。わずか27人の事件で、なぜ日本が途上国と同じ「第2段階」に分類されるのか、大使館に説明を求めるべきだ。