自署出来ない我々ALS患者は、半人前と社会に扱われます!

恩田 聖敬

一つ苦言を呈したいと思います。

某銀行にて

私は口座開設のために窓口を訪れました。渡されたのは、複写式の書類でした。当時の私は、ALSの進行によって、ペンを持つのがやっとで筆圧がほぼないところまで、握力が低下していました。私は握力がないという事情を説明して、窓口の方に代筆をお願いしましたが、自署でお願いしますと断られました。それならば、書類を持って帰って、妻に書いてもらい持ってきますと言いましたが、それもダメで、家族と窓口に来てくださいと言われました。

私も妻も暇ではないので、結局、窓口の方の要望通り自分で書類を書きました。その結果、3枚目以降全くうつってない書類が出来上がりました。明らかに書類不備だと思うのですが、そのまま口座開設出来てしまいました。本末転倒だなと強く思いました。

金融庁からのガイドラインなどがあるのかもしれませんが、銀行の論理を押し通した失敗例だと思います。自署=本人の意思で書いている証明、だと思いますが、意思表示を形で残す方法は、さまざま考えられると思います。ビデオで意思表示を録画したり、行員2人体制で1人が代筆するなどすれば良いと思います。

また、金融機関に限らず、代筆は家族しか駄目という場面がしばしばあります。私が隣で頷いているのに、なぜ他の人では駄目なのでしょう?こういった積み重ねが、家族を疲弊させます。

字は書けないけど意思を持つ、我々の意思表示を尊重して欲しいと思います。また、裏を返せば、こうした思いに応えるサービスを作れば、ビジネスチャンスにつながると思います。顧客の幅を広げていく道が、ここにあります。私もビジネスパーソンとして、この課題に取り組みます。

株式会社まんまる笑店
代表取締役社長
恩田聖敬
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この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2017年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。