フィンテックの法律と言うけれど…

2017年06月16日 06:00

最近、地銀等を対象とした「フィンテックの法律」関連のセミナーがたくさん開催されていると聞きました。「フィンテック」というだけで何だかとても真新しいもののような印象を受けますが、実は今のところ関連法規は極めて基本的なものだけなのです。

電子マネーや仮想通貨に関しては「資金決済法」、決済に関しては「割賦販売法」、融資に関しては「貸金業法」、投資に関しては「金融商品取引法」が関係してきます。これらは、金融関連の仕事をしている人であれば程度の差こそあれ誰もが知っている法律です。

業界の法としては、「保険業法」「銀行法」などが問題となり、マネロン防止などの関連で「犯罪収益移転防止法」「外為法」「国外送金等調書法」などが関わってきます。

顧客対応として、「個人情報保護法」「マイナンバー法」「電子帳簿保存法」「公的個人認証法」「金融商品販売法」「特定商取引法」などが関わります。

現在のところ契約書の印紙税が非課税となる「電子署名法」も一応関連法規に入れてもいいでしょう。
銀行、証券会社、保険会社などで最も関心の高い事項としては、それまで縦割でやってきたサービス(銀行と証券の垣根は従来からありますし、保険会社とは別個のビジネスのように思われています)を、「銀行代行業」「保険代理業」「証券仲介業」というように金融商品を横断する顧客事業者群と「犯罪収益移転等防止法」や「個人情報保護法」等が関わってくるインフラ関連事業者群という2つの横断的な業者群に分類できるということです。

顧客関連を個人と法人に分ければ、個人顧客向け、法人顧客向け、そしてインフラという3つの横断的な業者を縦割りの銀行、証券、保険などがどのように関わっていくかということでしょう。

委託するのか子会社化するのか、現在の出資比率制限の適用は受けるのか…というような問題です。実際問題として、電子マネーは今は多くの人が使っていますし、他国では低額送金をSNSで可能にしているようです。税務申告で原本保存の必要がなくなるのもフィンテックの流れでしょう。

このように、蓋を開けてしまえば元も子もない当たり前の法律ばかりで、わざわざセミナーが開催されている理由が私にはよくわかりません。「この程度のことだったのか」と安心するための安心料なのかもしれませんね。

これからの社会を変えていく最大の原動力は、何と言ってもブロックチェーンだと考えています。
これは平たく言えば「履歴のある台帳の電子版」ですので、登記簿や戸籍簿等をブロックチェーンで電子化することができるのではないかと期待しています。

現在、不動産等の所有者を確定するために戸籍制度を廃止するようなことは絶対にできませんが、ブロックチェーンで台帳を作成して国が管理すれば、今よりもはるかに正確、迅速かつ簡易に権利関係などを確定することができると期待しています。

現在フィンテックを検討しているのは金融庁と経産省ですが、是非とも法務省にも検討部署を作っていただきたいと思っています。(初期投資はかかるかもしれませんが、先々のことを考えれば絶対にモトは取れます)

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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