決して行政をゆがめるような仕事はしていない

萩生田 光一

通常国会閉会の記者会見を終えた夜に、NHKの番組の中で私の発言概要なる文書が公開され、翌日から説明に追われる事となりました。

直ちに私のコメント(別紙)を発表し、明確に否定すべき点だけはその理由も含めて説明しました。なぜこんなものが存在するのだろうというのが正直な気持ちでした。

夕刻には松野文科大臣から「著しく正確性を欠く文書でご迷惑をかけた。これから副大臣と事務次官を説明に行かせる」との話がありました。職員へのヒアリングによると、一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、そもそも私と面会した局長にも見せていないという、信じがたい説明でした。

又、日頃から省内では私に対し、文科政務官を務めた関係から身内としての意識が強く、省内の調整に私の名前を出して事に当たる一部傾向があった事は否めないとの説明もありました。加えて、先ほど前文科事務次官の会見でも触れていましたが、特区をめぐり内閣府と文科省が厳しい対立を続けていた時に私が文科省の味方になってくれると期待して頼りに相談に来たものの、最終的には私が味方とならず諦めたとの説明がありました。

私としては前次官のそうした認識を共有するものではありませんが、調整や諦めのために私の名が度々登場する文科省内の事情が良くわかった気がいたします。

総理側近の官房副長官、系列大学の客員教授、文科省との関係…
今回の件では偶然にも様々な外形的条件が重なり、ワイドショー的には話題の目を向けるには丁度良い存在だったかもしれません。

しかし改めて、誓って申し上げますが、

私が総理から指示をされた事も無ければ私から文科省に指示をしたり圧力をかけたりした事はありません。

加計学園から依頼をされた事もなければ便宜を図った事もありません。

私が一議員なら一方的に自己弁明を声高に主張し、役所を非難する事もできましょうが、官房副長官として政府全体に責任を持って仕事に当たらなくてはならず、各省と共に批判も課題も受け止めなくてはなりません。いわんや「内閣人事局長がゆえ報復人事を恐れて物言えぬ」などとの報道は、私に対しても霞が関の皆さんに対しても失礼な話です。決して行政をゆがめるような仕事の仕方はしていない事を誓います。

内閣官房副長官 萩生田 光一

別紙
http://blog.livedoor.jp/hagiuda1/170620.pdf


編集部より:このブログは内閣官房副長官、萩生田光一氏の公式ブログ「はぎうだ光一の永田町見聞録」2017年6月23日の記事を転載させていただきました(タイトルは編集部で改題)。

今回の萩生田氏からの寄稿掲載について

加計学園問題で揺れた国会が閉じた直後の6月19日、NHKクローズアップ現代が、文科省職員の共有フォルダに「萩生田官房副長官が文部科学省の担当者に対して指示した」とする文書が存在していたと報道しました(参照:番組公式サイト)。この“萩生田メモ”が再び政界やメディアに波紋を広げています。

これに対し、萩生田氏は本文中の別紙のコメント通り、内容を否定しています。

NHKは、社会部記者の文科省職員への取材を元に「水面下での交渉が記録された文書」「選定にあたっては、公平性・透明性が保たれたかどうか、省庁間の交渉も含めて、検証する必要がある」などと追及する構えを見せ、野党や朝日新聞、東京新聞などのリベラル系メディアを勢いづかせています。

元通産官僚の八幡和郎氏が「政治主導、官邸主導は必要だが、ルールと透明性は必要」と述べたように、政権関係者は疑義を持たれないようにしなければなりません。その意味で菅官房長官が加計学園が問題化した当初の文科省文書について「怪文書」などと切って捨てたことは批判を浴びても仕方がないと言えます。

その一方で、池内恵氏も指摘するように、文科省の文書作成能力にも疑義を感じさせる側面があります。また国家戦略特区のあり方をめぐり、官邸・内閣官房(経産省)と文科省による「省庁間の主導権争い」を指摘する意見もあり、当事者が説明を尽くし、冷静に検証する必要があると考えます。

ところが、23日にも記者会見した前川前事務次官の発言を、政権に批判的なメディアを中心に担ぎ出す風潮は強い。逆に「出会い系バー」出入りを特報した読売新聞が他メディアから批判を浴びるなど、報道側も「親政権」「反政権」に実質的に分断・政争化しているような状況で、冷静な検証から程遠い状況です。

今回のエントリーは、萩生田氏が23日午後、個人ブログを更新して今回の問題を説明したのを私が知り、アゴラでの掲載を依頼しました。当事者ができるだけ多くの検証材料を提出し、ネットメディアから幅広い読者に提供する意義を考えてのことです。萩生田氏から許可をいただいたので、ここに掲載します。

アゴラ編集長 新田 哲史