文科省のNHKへのリーク文書はツッコミどころ満載

池内 恵

加計問題、萩生田氏発言巡る新文書 文科相公表:朝日新聞デジタル

文科省がNHKにリークした文書がツッコミどころ満載でひどすぎる。文章の中でもタイトルと発言の主が一致していない。

大々的に取り上げている朝日の記事にしても、

文書には、萩生田氏の発言として「和泉(洋人首相)補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖(お)じ気(け)づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた」としたうえで、

と主語がなぜかいきなり官房副長官から首相補佐官に移り変わるという、わかりにくいものにならざるを得ない。元の文書の書き方が下手だからです。

しかしこの人たちには倒閣運動に参加しているという自覚はあるのだろうか。おそらくリークに関与した人たちは、もはや首相や官房長官は無理にしても、官房副長官ぐらいに責任を取らせて一矢報いようと考えているのかもしれないが、こんなずさんな文書を出して能力を疑われては、先行きが危ぶまれる。

文意が曖昧でどうとも取れる文章を書くのは文科省のお家芸なので(例の「文系学部廃止」騒動もそれが一因でした)、ミスをしたのではないと思う。普段からこういう文書を書いて下に忖度させて支配している。

松野博一文科相は、文書について「個人の備忘録として作成したもの」と述べる一方、「副長官の発言でない内容が含まれている」と語り、内容に不正確な点があったとして萩生田氏に「大変迷惑をかけた」と陳謝したことを明らかにした。常盤局長についても「(文書に書かれたような萩生田氏からの)指示があったということではない、と報告を受けている」と語った。その一方で、文科省の義本博司総括審議官は「半年以上も前の話で、双方記憶があいまいであり、これ以上調査しても具体的なことは確認できない」とし、詳細な調査はしない考えを示した。

このような文書しか作れない人たちが、意味不明の政策を連発し、それに従わなければ「お前たちは月給泥棒だと思え」となどと学部長クラスを呼びつけて言い放って「大学改革」をやってきた。そうやって作らせた国立大学法人に天下れば理事・副学長といった職位で、「民間企業役員並み」というそれまでにない基準を作って、すごい給料・退職金取るんだから、酷い世の中です。


編集部より:この記事は、池内恵氏のFacebook投稿 2017年6月21日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された池内氏に御礼申し上げます。