上原多香子氏の不倫騒動は報道すべきではない --- 林 けんいち

ツイッターより(編集部)

SPEEDの上原多香子さんの不倫騒動をテレビ各局が報道を控えていることがネット上などで話題となっています。他の芸能人の不倫報道は様々なワイドショーで大きく取り扱われているのに、この話題だけ不自然なまでに報じないことへの批判も多く、ダウンタウンの松本人志さんもフジテレビ系情報番組「ワイドナショー」(日曜午前前10時)でこの件についての発言が局側の判断でカットされたことについてtwitterや後の放送で批判的な発言をされていました。

しかし、この報道を自粛するという判断はテレビ各局としては妥当な判断だと思います。

その理由は、亡くなられた夫のTENNさんが意図した事ではないと思うのですが、その意思に関わらず、その死が、そして遺書の内容が上原多香子さんへの復讐として現在は機能してしまっている事です。

子供のイジメによる自殺事件にも見られるケースですが、自死をその原因を作った人への復讐の手段として、遺書にその名前を書いて残すという事件は今までも何度も発生しています。

しかし、その原因を作った人物が日本中に名前を知られた著名人で、それを報道自体が個人を完全に特定した上での復讐として成り立ってしまう例をこれの他に思い当たりません。

これを何千万人という人が見る可能性のあるメディアで報道し、コメンテーターがそれぞれ感想を述べ合う事は、あまりに危険な事です。

世の中にはTENNさんと同じような悩みやイジメに苦しむ人などが大勢います。その人達に、その原因を作ったとされる上原多香子さんという昔からテレビでよく見ていた有名人が報道によって追い詰められていく様子を見せてしまう事に良い影響があるとは到底思えません。というか、悪影響以外思いつきません。

政治家のような公人の資質を問う社会的意義もありません。有名人と公人は全く別のものです。

たしかに、今まで芸能人を準公人と位置付け、そのプライバシー権を全く無視してその私生活を報道し続けてきたマスコミが今回に限って極端に報道を控える様子は一貫性を欠くものに映ってしまうかもしれません。しかし、今回の報道に関する消極性は、マスコミに残った最後の理性だと信じたいと思います。

決して、所属事務所の圧力による報道規制などではないと、、、信じたいと思います。

フリーライター 林けんいち(ブログ:非常識バイアス