長期金利を下げると本当に我々に恩恵があるのか

2017年09月13日 11:30

現在、日銀が行っている長短金利操作付き量的・質的緩和という政策の目的は、大量の国債等の資産買入を維持させ、さらに短期金利だけでなく長期金利にも働きかけて金利を押さえ込むことになる。これによって金融緩和効果を発揮させようとするものである。

とは言え、現実にこの「長短金利操作付き量的・質的緩和」が本当はどのような政策であるのかを理解することは難しいのではないかと思う。もちろん一見すると、とにかく緩和効果のありそうなものを詰め込んだパッケージに見える。しかし、これは想定通りに事が運ばなかったことによる修正に次ぐ修正の結果といえる。

アベノミクスによって、日銀にリフレ政策が押しつけられ、その結果出てきたのが、2013年4月の量的・質的緩和政策である。金融市場調節の操作目標をマネタリーベースに変更した上で、期間の長い国債を含めて資産を金融機関などから大量に買い入れることで市場にインパクトを与え、その資金を市場に流入させることによって金融機関のポートフォリオのリバランス等を狙ったものとなる。

国債などの資産買入によって国債が買われて長期金利が低下し、ETF等の買入で株価の下支え要因となる。日銀の金融政策は直接、物価等に働きかけるものではない。中央銀行の金融政策はあくまで市場を通じて物価や経済に働きかけるものとなる。

人々のインフレ予想に働きかけることも大きな目的としているが、人々が果たしてどれだけ日銀の金融政策を理解し、それで予想を変えうるのか。日銀が動けば我々の物価に対する予想が本当に変化するのか。日銀がインフレターゲットを行っているからといって商品価格を値上げする必要はないと言っていた消費関連大手の経営者の発言もあったが、それが本音であろう。

日本の長期金利は確かに日銀の異次元緩和で下がった。しかし、物価はいっこうに上がらず、量的・質的緩和を拡大しても効果はなく、そこで打った手段がマイナス金利政策となったが、これが評判が悪かった。

金利をなくしたりマイナスにしていったい誰が喜ぶのか。実体経済が悪くてどうしようもない事態に対する緊急時の政策ならまだしも、日本の景気はそれほど悪くない。物価もむしろゼロ%近辺で安定している。それにも関わらず金利をマイナスにまでする必要はあったのか。

これで助けられているのは巨額の債務を抱えた政府である。だから予算編成も大盤振る舞いできる。それは我々の将来に対する不安感を多少なり後退させうるが時間稼ぎにしか過ぎない。そしてそれがどれだけの経済政策になるのか。日銀が無理に抑えず、多少なり金利がつけば我々の利息収入が増え、それにより消費を上向くことも予想される。つまりそれは我々の犠牲の上になりたっている政策ともいえる。

日本の長期金利を抑えることで日米金利差が拡大し、それが円安を招き、株価にも影響を与えるとの意見もあるかもしれない。しかし、為替は日米金利差だけで動くものではない。また、昔に比べて円安による日本への経済効果そのものも縮小しており、本当に日本の長期金利をここまで押さえ込む必要があるのか。このあたりそろそろ再検証する必要もあるではなかろうか。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年9月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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