アクセシビリティの不備が消費に与える影響

英国Guardianに興味深い記事が掲載された。『Have you been unable to shop due to poor accessibility?(アクセシビリティの不備で買い物ができなかったことはありませんか)』と題された記事には次のように書かれていた。

英国には1190万人の障害者がおり800億ポンドに相当する消費パワーを持っているが、店舗側のアクセシビリティ不備で一部は支出されていない。Extra Costs Commissionが調査したところ、障害のある顧客の75%がアクセシビリティの問題に直面し、英国の企業は毎週4億2千万ポンドに相当する売り上げを失っているとわかったという。この記事でアクセシビリティ不備とは、車いすでは店に入れない、店員が対応してくれないといった問題からウェブから情報が取得できない問題までを含む。

障害者の持つ消費パワーのおよそ1/4が未支出にとどまっていることは問題であるとして、Guardianは記事の最後で読者の経験を募っている。続報が掲載される可能性が高い。

ところで、Guardianはメディアとして情報アクセシビリティにどのように対応しているだろうか。同社はアクセシビリティ規格WCAGに準拠すると宣言し、そのうえで閲覧上の問題を連絡するように読者に呼び掛けている。このように積極的だからこそ、この記事も掲載されたのだろう。

年間200億ポンド以上が消費されずに終わっているという調査結果は、日本円では3兆円以上に相当する高額である。わが国の店舗にもアクセシビリティ不備の問題があるから、同様の調査を実施すれば相当高額の未支出額が推計できるだろう。