いよいよ本日(28日)衆議院が解散します。
福山の皆さまに後押しいただき、2期目の当選を決めてから2年9か月。非常に濃密な日々であったことは間違いありません。1期目よりも、自分自身の視野、人の縁が広がり、重要な政策立案でカタチを残せたと手応えを感じる場面も増えてきたように思います。
なぜ画期的と感じたのか?改めて振り返る
安倍総理の解散表明演説は、移動中の車内で聞きました。日本経済の停滞を打破し、景気回復を引き続き持続させる。そして、緊迫と混迷の度合いを深める朝鮮半島情勢に対し、我が国の安全保障を万全なものとする。いずれも、私たちが立ち向かわなければならない難題です。
そして、前回のブログでも概要は触れましたが、もう一つ重要な課題です。演説を聞いていて総理の言葉にハッとする瞬間がありました。
「子育て、介護。現役世代が直面するこの2つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換します」
解散総選挙を前にした演説で、社会保障制度の全世代型への転換方針を示したのは、非常に画期的なことです。
我が国の社会保障制度は戦後の高度成長期に整備されました。半世紀が過ぎて少子高齢化が進み、一人ひとりの生き方、働き方が急速に多様化していく中にあっても、制度自体は作られた当時のまま、正社員・終身雇用・人口増を前提とした画一的なものでした。
このままでは医療・介護など社会保障制度の持続可能性も厳しくなるばかり。シルバー民主主義という言葉が作られるほど(私は好きな言葉ではないですが)、選挙ではシニア世代の投票率が高い状況にあることから、これまでの政治家は改革には消極的でした。
私たち当事者世代が動いて議論が始まった「全世代型社会保障」
しかし、このままでは、お年寄りも若者も共倒れになります。今年34歳になる私たちの世代が、いまの平均寿命の80歳を迎える頃までには、到底いまの制度を持続できません。
そこで2年前から、「当事者世代」の若手議員の仲間たちと、「人生100年時代」にふさわしい制度づくりを目指し、本格的に動いてきました。「2020年以降の経済財政構想小委員会」、「人生100年時代の制度設計特命委員会」を通じ、党の政調会や政府に提言をしてきました。
特にいちばんの課題である少子化への歯止めに、有効な財源をどう確保するかが難しい論点でした。この20年間、我が国は消費税を2度あげたものの、暮らし向きが少しでもよくなったと実感しづらかったのが現実です。そのなかで、専門家の皆さん、仲間たちと知恵を絞りました。議員宿舎で夜を徹して喧々諤々の激論をかわすこともありました。
そうしてたどり着いたのが、「こども保険」構想です(提言集と解説記事のリンク集はこちら)。社会保険方式で、企業からも個人からも拠出いただき、社会で子育てを後押しする。長い目でみて、日本の社会を持続的に発展させるための「投資」になると考えてのことでした。「こども保険」については、幅広い世代から賛同の声をいただく一方、「税負担の議論から逃げるな」といったお叱りをいただくこともありました。
それでも、安倍総理の記者会見では、社会保障の財源についての質問に対し、党内議論の代表例として「こども保険という議論もあった」と言及がありました。「全世代型への転換」が方針として示されたのは、私たち若手議員が当事者世代の代表として声をあげ、意見をたたかわせ、先輩方を説得するといった政策プロセスがあったからこそだと自負しています。
「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、硬い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」
今回のプロセスほど、マックスヴェーバーの名言を実感したことはありませんでした。
高等教育の無償化はまだ議論の余地あり
総理は、消費税引き揚げの増収分の4兆円を借金返済に、1兆円を社会保障の充実に回す方針だったところ「使い道を思い切って変えたい」と言明し、教育無償化に当てる方針を示しています。資源のない日本にとって最大の宝である人材への投資こそ未来を作ることだ、という信念からのことですが、一方で、財政の黒字化先送りを懸念する声を始め、お叱りの声もいただいていることは重々承知しております。
しかし、これまでの借金の返済を重視するあまり、目の前に迫っている人口減少という国難に何も手を打たないということになってはいけませんし、人口減を克服することが将来の財政を改善することにもつながります。
合わせて、消費税による経済への影響についてはあらゆる手段をこうじて徹底的に抑える必要がありますし、そもそも経済状況が悪ければ延期も選択肢に持つべきです。
一方、私自身、高等教育については無償化の前に大きな改革が必要だと考えています。
昨今、ベストセラー「学力の経済学」で注目されましたが、人の知性の基盤を形作る幼児教育は、その重要性から無償化は私自身も必要であると提案してきました。
高等教育の無償化については、大学改革をまず積極的に進めてからと考えます。加えて、産業構造の転換にふさわしい学びのあり方はどうか。世の中がめまぐるしく変わる中、25歳以上の大学進学率が、先進国でも際立って低い我が国は学び直しの「リカレント」教育の環境をもっと整える必要もあります。
これから国会へ向かいます。衆議院が解散し、政務官としての業務をまとめてから、今夜、福山に戻ります。解散しても政府は動いていますので、何か緊急事態があれば政府の一員として対応します。「在京当番」など政務官の務めを果たしながら選挙準備は初めてのことですが、精いっぱい務める所存です。
それでは行ってまいります!
編集部より:この記事は、総務政務官・衆議院議員、小林史明氏(自由民主党、広島7区選出)のオフィシャルブログ 2017年9月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。