サルでもわかる「終身雇用がブラックを産む」わけ

2017年10月18日 17:00

昨日「過労死も長時間残業もぜんぶ終身雇用の副産物なのでそれを死守しようとしている立憲民主党や共産党はブラック企業撲滅どころかさらにブラックを蔓延させるぞ」というビジネスマンなら当たり前の常識をつぶやいたところ1500以上RTされたようでだいぶ日本社会のリテラシーも上がってきたなと感心しましたが、

まだ「政府が規制さえすれば夢はぜんぶ実現する」式の付加価値の低そうな方々による頭の悪いクソリプも結構飛んできたので、まとめてサルでもわかるように解説しておきます。

筆者は他人は他人と割り切ってる派なんで頭の悪い人がどんどん貧乏になったり長時間残業したりしてても別にどうとも思わないんですが、困ったことに彼らも選挙では同じ一票持ってるわけですから。

過労死がなんで終身雇用と関係あるの?

日本は終身雇用なので、残業時間で雇用調整します。具体的にはこんな感じです。

一般の国:「忙しい!よし、人を雇おう!」→「暇になったな。誰かをクビにしよう」
日本国 :「忙しい!みんなで徹夜だ!」→「暇になったから定時で帰ろう」

だから残業は別に会社がやらせてるわけじゃなくて労組と協定結んでやっているわけです。
イヤだったら断ればいいんですけど、断って会社の業績悪化すると(終身雇用で定年までお世話になる)労組も困るから徹夜するわけです。

日本の労基法がザルだからだ!

残業時間に実質的に上限が無いのは、上記のように労使に終身雇用を守らせてあげるためという面もあります。

すき家のワンオペとか終身雇用と関係ないじゃん

そもそもホワイトカラーの話なんでバイトがきつい話とかは関係ないんですが、一応言っとくと、すき家はバイトに長時間残業やらせようとしたらバイトが逃げて本社の正社員が駆り出されてそれでも回らなくて営業時間縮小に追い込まれたという話です。流動性こそが労働者の最大の武器という好例です。

じゃあなんで自民党は安だけ長期間政権とっときながら長時間残業減らせないの?

本気で残業時間に上限作るんだったら終身雇用辞めて解雇しやすいルールにしないとムリです。で、連合や共産党や立憲民主党あたりが大反対しているわけです。文句があるならそっちに言ってください。

・そもそも終身雇用を保証出来ている会社なんて一部の大企業だけでしょう?

法例ってたとえば中小企業に「おまえんとこは終身雇用っぽくないから残業上限は月50時間な?」とかなってましたっけ?中小企業に「おまえんとこは終身雇用じゃないっぽいから、解雇してもいいけどするときは半年分の基本給払えな」とか金銭解雇ルールありましたっけ?ないですね。大企業と同じルールが適用されます。

終身雇用そのものは無くても、同じルールを適用されてるわけです。こういうのを「やらずぼったくり」と言います。

あ、ちなみに金銭解雇ルールが出来れば、今まで割と勝手にクビ切られてた中小企業の従業員は(上記の例でいえば)半年分の補償が貰えるわけです。実は解雇規制緩和って大多数の労働者にとっては規制強化なんですよ。
まあ早期退職応募で一億円近く貰える朝日新聞の社員は発狂するでしょうけど。

なので、解雇の規制緩和には「従業員クビにするのにいちいちお金なんか払いたくないよ」という中小企業の経営者と「辞めるにしても2年分くらいの割増退職金がもらえる従来のシステムがいい」という連合がタッグを組んで反対してたりします。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2017年10月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。

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城 繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役

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