ロケ撮影官民連絡会議がスタートしました。

中村 伊知哉

「ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議」がスタートしました。
昨年度、知財本部に置かれた映画振興会の議論を受けて開催されたもの。
内閣府副大臣が議長、ぼくはファシリテーターを務めます。

フジテレビ、角川大映、NHK、松竹、トムス、ジャパン・フィルムコミッション、ATP、ユニジャパンなどが参加。
内閣府、警察庁、総務省、消防庁、文化庁、経産省、外務省、国交省、観光庁、東京都がテーブルにつきます。

フィルムコミッション(FC)は全国で307団体が形成され、ロケは2000年に282本だったものが2015年には581本に倍増。
ただ、未だ許認可手続きが複雑で、国の窓口がバラバラという課題があるといいます。

これに対し、政府は弾力的で円滑な運用に前向き。警察の道交法は地域活性化に資する社会的意義によって使用許可を出す。国交省の道路占用許可も手続を簡素化し、海や空(ドローン)の利用も弾力的に相談に応ず、とのことです。

ただ、どのような「公益性」が認められればロケの許可が下りるのか、が論点です。

政府は映画の内容ではなく地域住民の観点を重視し、自治体などによる要請を目安としていますが、FCが頼むだけじゃダメなのか、といったことです。
ロケの許可を得るためのガイドライン策定などが会議のアウトプットとして期待されます。
どういう「公益性」があれば、どういう条件が揃えば円滑に許可が下りるか。
役所や法令をまたぐテーマであり、まずは現状と認識の共有が重要です。

例えば東京では、シン・ゴジラを蒲田で撮影したり、リオ五輪閉会式向け映像を渋谷スクランブル交差点で撮影したりと、大掛かりな例があります。
大規模なロケ誘致実績を誇る北九州市では、「相棒」の撮影にエキストラ3000人が参加、日曜日の一日中、市街地の真ん中で6車線を封鎖したという事例も。
ただ、これくらいできないと北九州までロケには来てくれない、との声もありました。

萩生田官房副長官(現自民党幹事長代行)は、「清濁併せ呑む」覚悟が必要だとコメント。役所を舞台に撮影するのに、汚職事件を扱うならダメだ、などとしたら話が進まない。そこは「文化」であるという認識が大事だ、と。
御意。

その場合、映画を作ること自体の「公益性」を関係者にも覚悟させることが重要になります。
そのための官民の認識向上を図ること、それを地域レベルまで発信することがこの会議のミッションとなります。
言うは易し、しかし。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。