「問題」とはそれを感じる本人が勝手につくり出すもの

画像は参考書籍より。

アゴラでは、「出版道場」という出版ニーズに応えるための講座を開催している。その影響もあり、著者や出版社から献本されることが多い。今回は、『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』(あさ出版)を紹介したい。著者は心理カウンセラーの根本裕幸(以下、根本氏)。著書内で紹介されている理論を私なりの視点で解説する。

問題は生きるうえでの必然と考える

――生きるうえで何らかの問題が発生すると人はネガティブな意識に陥りやすい。根本氏は「これは自分らしく生きるために必要だったこと!」だと思うことが大切だと述べている。たしかにこのような捉え方ができれば心が楽になる。

「自分軸で生きていると、何か問題が起きたときも『自分がより成長するために必要があって起きた問題』として前向きに捉えることができます。私は、『すべての問題は自作自演』という話をしているのですが、間題とは、それを感じる本人が自らつくり出すもので、自分がより自分らしく生きられるように起きるものなのです。」(根本氏)

「カウンセリングで相談を受ける際も『この問題はもっと自分らしく、好きなことをやって生きなさい、というメッセージです』という話をします。自己肯定感が高くなっているのですから、問題を抱えている自分のことも認められるはずです。」(同)

――通常は、「問題を起こしてダメだ!」と否定する。これでは答えが余計に見つからない。しかし、「自分らしく生きろというメッセージなんだ」「この問題は自分らしく生きるために必要なことなんだ」と考えれば問題を肯定することができる。

「自己肯定感を高め、自分軸で考えられるようになると『本当に自分がしたいことは何?』という問いが生まれてきます。『本当に自分がしたいことは何だ?』と自分に問いかけてほしいのです。私も、自分に問いかけ続けています。本を書きたい、旅に出たい、という思いは今も変わりませんが、ほかの問いもおこなっています。」(根本氏)

「その後、その問いは新たに『海の近くに住みたい』『もっと質の高いセミナーをしたい』という思いをつくり出しています。何かに迷ったとき、自信をなくしそうになったときも、問いは自分自身をさらに前に進めるきっかけを与えてくれます。」(同)

自分を大切にする作業が必要

――さらに根本氏は次ぎのように続ける。「毎朝、大切にしている花に水をあげるように自分を大切にしていける人は、必ず充実した人生を送ることができる」。これまでセミナーやカウンセリングを通して、そのような人を多く見てきたそうだ。

「Yさんという方がいました。Yさんは職場の上司、パートナーや苦手なタイプの人の前でいつも“いい人”を自動的に演じていました。そんな自分を客観的に見つめるたびに、『また相手の顔色気にしてるよ』『この人の機嫌なんかどーでもいい』『私が大事。私が大事。私が大事』と実況中継を心の中でしています。」(根本氏)

「そうして、今の自分を客観的に見つめ続けた結果、『自分が何を感じているのか』『本当は自分はどうしたいか』にまで意識を向けることができました。」(同)

――「自己肯定感」で考えれば、「私は私、あなたはあなた」というフレーズを毎日くり返すことの効果は高い。毎日、決意表明をしていることと同じだからである。

「これができれば、自分と他人の間に境界線を引くことができます。他のケースでは、『もう自分を責めない。どんな自分も認めてあげる』と決めた人がいました。何があっても自分を『それでいい。それが私。それも私』と受け入れ続けることにしたのです。しばらくしたらとても柔らかい雰囲気に変わっていました。」(根本氏)

「それまで抱えていたモヤモヤがスーッと軽くなったと言います。自己肯定感を高めることは、突き詰めてれば、自分自身を深く理解することだと思います。」(同)

――本書を読むだけで「自己肯定感」が高まるわけではない。しかし、自分の気持ちに問いかけることは自分を客観視する大切な作業と考えられる。また「自己肯定感」は平易でわかりやすい理論であることも申し上げておきたい。

参考書籍
敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』(あさ出版)

尾藤克之
コラムニスト

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