電波政策への圧力が高まってきた

山田 肇

規制改革推進会議は9月に「年内を目途に解決の道筋を示すべき重要事項」として電波政策を取り上げた。具体的には次のとおりである。

技術革新や新需要への機動的対応に向けた電波割当制度の改革:官民の電波利用状況に関する情報開示の充実、電波利用料体系の再設計など、より有効に電波を利用する者に対し機動的に再配分するためのルールづくり

その後、規制改革推進会議内の投資等ワーキング・グループで議論が続けられてきた。僕は10月17日に出席し、有効に利用していない免許人から電波を取り上げるなどして、新たに割り当てる周波数を生み出す区画整理を優先すべきと発言した。電波政策というと電波オークションが頭に浮かぶが、それは短絡的で、区画整理して空き地を生み出さない限りオークションも何もできない。

一方、行政改革推進会議は秋の年次公開検証(秋のレビュー)で「電波利用」を取り上げた。行革事務局の資料にある通り、平成28年度予算で284億円を計上した地上デジタルテレビ放送への移行関連経費が29年度には13億円に急減したが、研究開発費が119億円から192億円に急増して総額はほぼ維持された。これが不要不急の研究開発を実施したのではないかとの疑念を生んだ。「その研究開発を平成29年度に実施しなければならないと判断した特別の事情はあったのか」といった厳しい質問が評価者から重ねられたが、総務省からの回答は満足できるものではなかった。

秋のレビューは「民間企業に任せられるものは民間に委ね、国費の投入は本当に必要な事項に絞り込むとともに、研究開発以外の他の使途についても不要不急なものがないか検証する。」との結論を出した。レビューに同席した梶山大臣は「電波は国民の共有財産であり社会の重要なインフラである。電波利用料の使途は不断の見直しが必要である。」と発言された。また、梶山大臣は規制改革推進会議も担当されており、両会議を連動させて電波政策を改革していく必要性を強調された。

11月17日にも投資等WGが開催され、僕は再度参考人として出席した。放送区域単位ではデジタルテレビ周波数帯の中に利用されてない周波数(ホワイトスペース)があり、総務省はその利用促進に動くべきと提案した。総務省に質問したところ、東京ではホワイトスペースが少なくとも8.5チャンネル分、新潟では14チャンネル分、つまり、東京でも50メガヘルツ以上が他に利用可能ということだった。総務省もテレビ放送に迷惑をかけない範囲でのホワイトスペースの利用促進は「前向きの意見」と同意した。

規制改革推進会議で議長代理を務める金丸氏は、WGの最後に「電波政策は旧態依然であり抜本的な改革が必要である」という趣旨の発言をされた。規制改革推進会議と行政改革推進会議は共に電波政策の抜本的な見直しの必要性を強く認識し、電波政策への見直し圧力が高まっている。