電波制度の改革は区画整理から始まる

山田 肇

規制改革推進会議第4回投資等ワーキング・グループに出席し意見を申し述べた。すでに同会議のサイトに発表資料が公開されているので参照いただきたい。この記事では電波制度の改革は区画整理から始まるという僕の主張について説明する。

ある地点・ある時刻、たとえば東京都千代田区霞が関・2017年11月1日正午に全周波数帯の利用状況を調査すると、それぞれの周波数は次のように分類される。第一は免許が交付され利用されている周波数、第二は免許が交付されているが利用されていない周波数、第三がまだ免許が交付されていない周波数、第四が免許不要帯として共用されている周波数である。

第三は空き周波数なので新規に割り当てできる。割当方法は比較審査方式とオークション方式に二分され、わが国ではオークション方式は長年の懸案なので、電波制度改革というとオークションの是非に議論が集中する。実際第3回の投資等WGでも、第4回の僕以外の参考人2名もオークションについて語った。

僕は、免許が交付されているが利用されていない周波数のほうが大きな問題だと考える。それで意見陳述では土地とのアナロジーを持ち出した。免許が交付されているというのは土地で言えば私有地に相当する。それが空き住戸として放置されたり、利用率が低かったりしたら、区画整理をして広大な空き地を生み出そうということになる。電波も同様で利用されていなかったり利用率が低かったりしたら、免許を取り上げて整理して広大な空き周波数を生み出せばよい。空き周波数がなければ割り当てはできない。だから電波の区画整理は割当制度の改革に先立つ最優先の政策課題なのである。

総務省は毎年「電波の利用状況調査」を実施しているが、各免許人に「使っていますか?」と質問するにとどまっている。電波の発射状況を客観的に調査して、利用していない・利用率が低い免許人を洗い出し免許の返上を求める必要がある。だから、僕は全帯域・全日・週間(月間)の電波発射状況調査を総務省に求めると提案した。

オークションを採用するか比較審査方式を改善するか、それだけに焦点を当てるのは正しくない。また、全周波数帯について全国各地で電波の発射状況調査をできるのは総務省だけだから(他が予算を確保するのはむずかしいから)、総務省が役割を果たすように期待する。