誰のためのネット投票か?忘れてはならない視点

2017年12月08日 14:00

今週はじめ、ネットで話題になった政治ニュースといえば、なんといってもネット投票導入に向けたこの話でした。

ネット投票導入検討 総務省、17年中にも有識者研(日本経済新聞)

野田大臣、河野大臣のリーダーシップ

総務省として正式なご報告は近いうちにさせていただきますが、記事に書いてある通り、ネット投票の導入に向けて有識者による研究会をスタートすることになりました。

私自身、政務官就任前から提言していたこともあり、検討会の責任者として取り組んでいきます。

ネットを使った選挙活動が解禁され4年。ネット投票についても、すでに現場レベルでは将来の導入に向けて技術的な試行錯誤が積み重ねられています。あるIT企業は、有名アイドルグループの投票システムを構築してきた経験も生かして本物の選挙への導入を意識して研究をしています。政党では、我が党が昨年の参院選で比例代表候補をネット投票で選ぶオープンエントリーに初めて挑戦しました。

それでも具体的な導入に向けて目立ったアクションまでは至っていませんでしたが、この秋の衆院選を機に流れが変わりました。台風の影響により離島地域では投票箱が開票所に届かずに開票が遅れる事案が発生。

また、在外邦人の皆さまから「投票がやりにくい」というご指摘が相次いでいたことも踏まえ、選挙直後に、野田総務大臣と河野外務大臣から導入検討に向けた指示が出され、検討に向けた動きが加速しました。ネット投票の可能性を理解しているリーダーシップのある二人がそれぞれの所管官庁で大臣を務められていたというタイミングは、本当に大きかったと思います。

ネットで進めたい障がい者の政治参画

さて「ネット投票」というと、多くの方は若者の政治参画の観点から論じられることが多いですが、ネットを使うのは若者だけではありません。忘れてはならないのは障がい者のアクセシビリティの改善です。

視覚障がいの方は投票以前に、選挙に関する情報取得にハードルがあります。総務省の調査では、視覚障害者の9割が、ネットを利用していますが、その多くの人たちは音声による読み上げソフトを頼りにしています。ところがネットに出ている選挙公報は、読み上げソフトに対応していない形式でアップされているなど「不便」なため、選挙に関心があっても情報を得られず、投票意欲をそぎかねません。

Yahoo!JAPANが今夏の東京都議会議員選挙で特設サイト「聞こえる選挙」を開設したのは、そうした実情を踏まえたものでした。このサイトでは、画面読み上げソフトを使って選挙公報の情報を取得できるようにしていましたのですが、総務省内でもそうした取り組みも踏まえて、選挙前から検討会の準備していました。ヤフーが視覚障がい者に実施したアンケートでは、「6割以上の方が投票に積極的で、直近の都議選については9割の方が投票の意向を示していた」そうですから、その思いに応えていきたいと思います。

重度の障がいがある方、自宅で介護されている方でも、ネット投票が実現すれば、投票所に行かなくても一票を投じることができるようになります。障がい者の方の政治参画を進め、その思いを政策に反映していくことが多様性のある社会を実現していくことにつながるのです。

ネット投票実現へ一歩でも前へ

もちろん、実際にネット投票導入となると、すでに多くの有識者からご指摘を受けているように、「投票の秘密」をどう保障するか、命令や監視をされて望まない候補者への投票を強いられるような事態も考えられます。しかし、世界で最初にネット投票を国政選挙に導入したエストニアでは、開票日までなんども投票し直すことができるシステムを採用しています。そうした先進事例も大いに参考にしたいものです。

ネット投票実現に向け、テクノロジーの可能性に賭ける勇気、多様性のある社会を目指す優しさ、そして課題を克服していく政治のリーダーシップと皆さんの思いがこれからますます重要です。来年は一歩でも前へ進みたいと思います。


編集部より:この記事は、総務政務官、衆議院議員の小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2017年12月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。

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小林 史明
総務政務官、衆議院議員(広島7区、自民党)

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