立憲主義的な憲法改正論議でも、9条の検討は外せないはずだが…

立憲民主党や小林よしのり氏が主張されるような、立憲主義的な観点から憲法改正論議を進めようという見解にはそれなりの説得力があるのだが、だからと言って、憲法9条には一切触れない、というのは偏狭に過ぎるだろう、というのが私の現時点における率直な感想である。

一方、安倍総理が唐突に出された9条3項追加論は、確かに公明党が提唱していた路線をそのまま踏襲するもので、最終的な落しどころとしてはありかな、という感じだったが、それにしても結論ありきの政治的妥協の産物であることが一見して明白で、まあ、そういうおためごかしのようなことは止めておいた方がいいだろう、というのが私の基本的な見解である。

安倍総理は、どうも真剣に日本の憲法の在り方を捉えていない嫌いがある。

真面目に憲法改正論議を展開したい私などは、途中ではぐらかされているような気分になってしまうので安倍総理が主導する憲法改正論議にはあまり乗りたくないな、というのが正直なところである。

衆議院の憲法調査会の委員であった私には、安倍総理の改憲論はどうにも軽すぎて、ついて行けないところがある。

しかし、ようやく憲法改正論議が各党で真剣に展開される雰囲気になったことはいいことだと思っている。

まずは、国民の間から熱の籠った本格的な憲法論議が湧き起こることを期待したい。
いずれは必ず憲法改正の発議に繋がるだろうと思っているが、各党の政策策定関係者の皆さんには、くれぐれも結論を急がないで、憲法改正の要否及び改正の条項等について国民的な合意が成立するよう頑張っていただきたいものである。

憲法の改正は、2020年の東京オリンピックが終わってからでも一向に差し支えない。
それまでの間に憲法の改正が必要となるような革命的な事態や、憲法の効力の全面的な執行停止が必要となる戦争等の非常事態が起きない、という大前提付きであるが・・・。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年12月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。