反省、2017年。展望、2018年。

賀正 でございます。

2013 年頭所感

2014 年頭所感

2015 年頭所感

2016 年頭所感

2017 年頭所感

いつものとおり、2018年を始めるに当たって、2017年を振り返ります。
「City」「Cool」「Convergence」3本柱のプロジェクトです。

1 CITY

Pop & Techの街づくりをするプロジェクトです。

1) CiP
港区竹芝にデジタル・コンテンツ産業集積特区を作る「CiP」。Pop &Tech 特区CiP。社団法人「CiP協議会」を設立し、2020年度の街開きに向け進んでいます。

通信、放送、IT、音楽、アニメ、ゲーム、お笑い、広告、商社、VC、学校など60社・団体が参加し、内閣官房、内閣府、総務省、経産省など政府とも連携しています。

国家戦略特区として総理大臣の認定を受けており、テストベッドを構築します。既にアーティストコモンズ、サイネージ実験、世界オタク研究所等のプロジェクトが走っています。

2018年はCiPファンドを立ち上げ、起業支援の柱を立てます。StartMeUpAwardなどの起業支援・ビジネスマッチングの取組も強化するとともに、「i大」のサテライト誘致などによる「超学校」構想を進めます。
京都・福岡・沖縄等の都市、スタンフォード大学、ロンドン大学、マレーシア・イマジニアリング研究所、韓国政府・コンテンツ振興院など海外との連携も強化します。

2) i大
ICTの専門職大学「i大」を2020年に設立し、ぼくが学長に就くことになりました。
ICT☓ビジネス☓英語の徹底教育、全員インターンの実践教育、オンライン重視。
学生が全員入社する会社を設立し、学生が全員起業する環境に整備します。
第一線の経営者など100名程度のプロを客員教授として迎えます。

本校舎は東京都墨田区、スカイツリーの近くに新設します。ポップ&テック特区の竹芝CiPにサテライトを置きます。
国家戦略特区を活かします。教育特区の指定も目指します。
自分としての集大成、新たな挑戦です。

◯協力を表明している企業(2017.12現在、順不同)
NTTdocomo、ソフトバンク、KDDI、ドワンゴ、GREE、mixi、セガ、teamLab、
面白法人カヤック、NEC、富士通、パナソニック、シスコシステムズ、SAP、
TBS、吉本興業、東北新社、エボラブルアジア、花王、CANVAS、Schoo、浜野製作所、
ジャパンマルチメディア放送(FM東京)、デロイトトーマツベンチャーサポート、墨田区

参考拙稿:
ICT専門の大学「i大」を設立することになりました
なぜぼくがi大をつくるのか。

3) 超人スポーツ
身体と技術を融合させ、人機一体の新しいスポーツを開発する「超人スポーツ」。稲見昌彦さんとぼくが共同代表、南澤孝太さんが専務理事として社団法人「超人スポーツ協会」を運営しています。
2020年の超人スポーツ世界大会に向け、新スポーツの開発・普及を進めています。国体会場であった岩手県とも連携して、岩手ご当地超人スポーツの開発も行いました。DeNAと連携した「超野球」プロジェクトや、TBSによるドローンレース選手権の開催など、企業とタッグを組んでの開発・ビジネス展開も進めています。2018年2月には第2回超人スポーツゲームズを開催する予定です。
国際展開も進めます。7月にはオランダ・デルフトで競技会を計画しています。

2 COOL

ポップカルチャーの世界展開やコンテンツの開発を進めるプロジェクトです。

1) 京都国際映画祭
吉本興業が主導する「映画もアートもその他もぜんぶ」のイベント、実行委員長を務めています。京都の街を広く使い、映画人もアーティストも芸人も学生も子どもも観光客も参加する、他のどこにもない祭典にしていきます。先輩格の沖縄国際映画祭との連携も深めてまいります。

2) 世界オタク研究所
国際オタクイベント協会IOEAとCiPが連携し、世界オタク研究所を設立する構想を進めています。世界各地で開催されるオタク系イベントの動員数は年2000万人にのぼるそうです。そのエンジンたる各国の研究者による総本山を創る。経産省の支援を得て進めています。今年中に設立する計画です。

3) Artist Commons
アーティストに固有のIDを付与し、コンテンツやグッズ、ライブ等の情報を展開しやすいようにするプロジェクト「Artist Commons」を音楽業界と進めています。
政府クールジャパン戦略にも明記され、CiPをベースに展開しています。経済産業省の支援を得て、データベース作りをスタートさせました。

4) チケット流通
mixi/フンザのチケットキャンプが騒動となっています。ぼくは2016年にその正常化を期してmixi社外取締役を辞任しましたが、1年後により深刻な形で吹き出してしまったことは残念でなりません。他方、昨年、音事協・音制連・ACPC等によるチケット転売対策「チケトレ」協議会の会長を引き受け、総務省のマイナンバーを利用した実証実験も進めています。2020年東京大会に向け環境整備を急ぎます。

5) アニメマンガビジネス
日本動画協会「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」。アニメ等のコンテンツ分野がパートナービジネスを開発する活動に協力しています。CiPではこれを横展開させ、出版等の分野のビジネスマッチングを進めます。

クリエイター、教育機関、関係業界とともにマンガ・アニメ人材育成カリキュラムの策定にも携わっています。これもCiPとの連携を強化する計画です。

6) eスポーツ
理事を務める日本eスポーツ協会JeSAはじめ3団体が合流、CESA・JOGAも協力して、新たな統合されたeスポーツの団体が設立されることになりました。これにより、公式プロ認定が行われ、消費者庁による賞金規制を受けない大会も開催されるようになり、2018年は日本のeスポーツ元年として産業化が進む展望が開けました。万歳。2024年、パリ五輪の正式種目化を目指しましょう。

7) 政府コンテンツ政策
内閣府・知財本部では座長として、新世代知財システム、コンテンツ海外展開強化、アーカイブ利活用促進などを柱とする知財計画2017を策定。世界に先駆けてAIの知財問題に取り組みました。映画ロケ支援の会議も開催しています。

「クールジャパン戦略推進会議」では竹芝・CiPがモデル拠点とされ、クールジャパン官民連携プラットフォームも設立されました。その活動に参加・協力していきます。
文化審議会著作権分科会の議論にも参加し、これら議論を反映させています。

8) NHKクールジャパン
日本のクールを発信しつづける番組、13年目に入ります。BSを代表する長寿番組になりました。2017年は「カバン」、「フィギュア」、「宅配」、「冷たい麺」、「少女漫画」、「日本発スポーツ」の巻に参加しました。

3 CONVERGENCE

メディア融合や新メディア開発を進めるプロジェクトです。

1) デジタルサイネージ
「デジタルサイネージコンソーシアム」設立10年。今年6月には展示会デジタルサイネージジャパンも10年を迎えます。2020年に向け、多言語・防災おもてなしサイネージとが国家課題と位置づけられ、総務省2020年ICT懇談会の場で方策づくりが続いています。これを推し進めます。総務省の実証実験にもCiPとして参加・協力しています。

2) 4K8Kパブリックビューイング
4K8Kはじめ超高精細映像パブリックビューイングの施設整備も総務省が推進しています。その推進母体として、2016年「映像配信高度化機構」を設立、ぼくが理事長に就きました。NHK、NTT、NTV、スカパーJSAT、ソニーなどによって、実証開発や普及促進に努めています。

3) IPDC/スマート放送
放送の電波に通信技術であるIPを乗せるサービスを開発するIP Data Casting(IPDC)。代表を務める「IPDCフォーラム」とともにCiP特区でのメディア融合実験を企画しています。TFMグループが進めるVlowマルチメディア放送もCiPでの通信・放送融合実験を計画中です。民放連でぼくが座長を務めるネッド・デジタル研究会でもこれら企画を論議していきます。

4) オープンデータ
オープンデータ対策を進めます。VLED(社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構)に協力し、普及啓発に努めています。

5) データ流通
データ取引市場の形成はじめデータの提供・利用を進めるための社団法人「データ流通推進協議会」を設立し、理事に就任しました。内閣官房IT戦略室、総務省、経済産業省での検討を踏まえ民間として立ち上げたものです。オープンデータとともに推進します。

6) シェアリングエコノミー
内閣官房IT戦略室の検討会議での議論を踏まえ、シェアリングエコノミー認証制度が始まりました。認証委員会に参加しています。

7) ネット炎上
ネット炎上対策を講ずるプロジェクト。理事長を務める社団法人「ニューメディアリスク協会」とともに、事例調査、啓発教育などの活動を進めています。

8) 理研AIPセンター
AI研究開発の日本の総本山、理研AIPセンター。コーディネイターに就任し、AI研究と社会経済をつなぎます。あれこれ仕掛けてまいります。ご協力のほどを。

4 参考

1) デジタルキッズ
CANVAS石戸理事長率いるデジタルキッズは強力に進んでいます。ワークショックコレクション、国際デジタルえほんフェアも開催してまいります。

学校での必修化が政府決定されたプログラミング教育に関し、プラットフォーム「Computer Science for ALL」も拡充します。(参考拙稿:プログラミング教育政策、失敗から成功に転じるか?

2) デジタル教科書
デジタル教科書も大きく動きました。文科省はデジタル教科書の制度化に動き、総務省は電波利用料の活用に踏み出すなど、DiTTが提言してきたことが実現に向かっています。超党派の国会議員による教育ICT議連も「教育情報化推進基本法」の策定に動き、DiTTも後押ししています。

これを受け、DiTTは社団法人化し、プログラミング教育、情報リテラシー教育、教育のAI/IoT利用や教材の著作権処理などを活動に組み込み、パワーアップしています。

参考拙稿:教育情報化を推進するエンジンになります。

3) 情報リテラシー
青少年ネット安全・安心政策が新段階を迎えています。ケータイはスマホに、SNSはtwitterやLINEに移り、対策も変化しています。政府会議の主査を務めながら対応を進化させます。

参考拙稿:いま安心・安全ネット対策は

4) 企業経営

吉本興業、スペースシャワーネットワーク、保育最大手のJPホールディングスの社外取締役を務めています。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年1月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。