大野裕之著「京都のおねだん」。
舞妓や仕出し、着物や稽古事などの秘められた値段を明かす情報本、と思いきや、縦横無尽にポップで深い京文化論でした。知らない話、なつかしい話、満載。いくつかメモします。
京都は地下水脈が豊かで、その軟水が豆腐や酒や西陣織を育てているが、それを守るため地下鉄建設が遅れ、大阪の2.6倍のコストがかかった。
(なるほど、掘ると遺跡が出る、だけではなかったんや。)
1962年、全国の同業組合の名称を巡り、京都の「寿司」、江戸の「鮨」、大阪の「鮓」でバトルとなり、結果「すし」組合になった。
(3つとも違う食べもんですしなぁ。)
梶井基次郎が檸檬を買った八百卯はもうなくなっているが、檸檬を置いた丸善は再開した。
(いまの丸善さんの檸檬置き場。これが大爆発することになっています。)
京都では豆腐も菓子も値段も饅頭もみな頭に「お」がつく。
(ひさうちみちおさんが別の本で、おしっこもおならも「お」がつくけど、うんこはつかないので、京都では「うんこさん」と呼ぶ、と書いてた。)
京都は常に新しい音楽を生んできた。京都大学西部講堂はザッパ、XTC、ポリスなどが公演した。
(ぼく一部 当事者なんで、この記述はうれしい。)
京大は変な先生が多い。「校舎の上から答案を撒いて最初に地上に着いたものに満点を与える森毅先生」。
(ぼくの時の試験は「屋上から見えるものを書け」。たしか大文字山は合格で、京都タワーは落第とちごたかな。)
(化学の試験、「石炭からアルコールを得る方法を述べよ」で、「石炭売ってアルコール買う」が正解やったんもあったな。)
折田先生像。正史、ハリボテ史、いずれもクリエイティブです。
https://sites.google.com/site/freedomorita/rireki2
https://sites.google.com/site/freedomorita/rireki3
本書に出てくるカルトビデオレンタル屋「ふや町映画タウン」。こっそり行ってきました。
この映像ラインナップは・・・世界の中でもここしかないでしょうね。今度、腰を据えて来ます。
「京都のおねだん」著者の大野裕之さんはチャップリン研究の第一人者で、京都国際映画祭でも「チャップリン特集」を組み、プロデュース+登壇いただきました。
今後とも京都国際映画祭をよろしくお願いします。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年1月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。