超党派議連が提案する学校教育の情報化推進法

遠藤利明自由民主党衆議院議員が会長を務める「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす議員連盟」に有識者アドバイザーとして出席した。この超党派議連では、盛山正仁自由民主党衆議院議員を座長として『学校教育の情報化の推進に関する法律案』の作成を進めてきたが完了し、今回の総会で各党協議さらに国会提出に進むことが決議された。

「高度情報通信社会の発展に伴い、学校における情報通信技術の活用により学校教育が直面する課題の解決及び学校教育の一層の充実を図ることが重要」という認識の下で、「全ての児童生徒がその状況に応じて効果的に教育を受けることができる環境の整備を図るため、学校教育の情報化の推進に関して、基本理念、国等の責務、推進計画等を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代の社会を担う児童生徒の育成に貢献する」ことが法律の目的である。

法律案は六つの基本理念を掲げている。①情報通信技術の特性を生かして、児童生徒の能力、特性等に応じた教育、双方向性のある教育等を実施、②デジタル教材による学習とその他の学習を組み合わせるなど、多様な方法による学習を推進、③すべての児童生徒が、家庭の状況、地域、障害の有無等にかかわらず学校教育の情報化の恵沢を享受、④情報通信技術を活用した学校事務の効率化により、学校の教職員の教務負担を軽減し、教育の質を向上、⑤児童生徒等の個人情報の適正な取扱い及びサイバーセキュリティの確保、⑥児童生徒による情報通信技術の利用が、児童生徒の健康、生活等に及ぼす影響に十分配慮。

僕は繰り返し、障害を持つ児童生徒の学習への配慮を要望してきた。法律案にそれが具体的に書き込まれたことはありがたい。例えばデジタル教材等の開発及び普及の促進に関わる条文では、「障害の有無にかかわらず全ての児童生徒が円滑に利用することができるデジタル教材等の開発の促進に必要な処置を講ずる」ことが国の義務となっている。これによって、デジタル教材等はアクセシビリティに配慮しなければならないことになる。

議員立法と並行して、学校教育法・著作権法・文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の改正案が内閣から提案されている。これは、教育課程の一部において、教科書の使用義務に関わらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できるようにするものである。

立法府と行政府が連動した、教育の情報化を前に進める動きを歓迎し、早期の成立を期待する。

山田 肇
ドラえもん社会ワールド 情報に強くなろう』監修