なぜ今ごろ「反原発感情」が強まるのか

2018年03月09日 11:30

福島第一原発事故から7年がたつ。記憶が薄れると人々が冷静になるだろうと思っていたが、どうやら世の中は逆に動いているようだ。3月5日放送のNHK「あさイチ」の原発特集は新潟県の柏崎刈羽原発を取材し、「原発がなくても電力は足りる」というキャンペーンを張った。

野党も小泉元首相と連携して、すべての原発を5年以内に廃炉にするという「原発ゼロ基本法案」を今国会に出す予定だ。もちろん成立する可能性はないが、今ごろこういう「反原発感情」が強まっているのは見過ごせない。それは民主主義の劣化を示しているからだ。

首都圏にただ乗りする新潟県民

原子力規制委員会は柏崎6・7号機について、2017年12月に「設置変更許可」を出した。これは「再稼働の許可」ではなく、法的には定期検査を終えた原発は運転するのが当たり前だが、安倍政権は「安全の確認された原発は再稼働する」という方針だ。これは民主党政権の植えつけた誤解だが、それは今さらどうしようもない。

問題は、こうして上がったハードルが、さらに上がっていることだ。新潟県の米山隆一知事は、福島事故についての「検証総括委員会」を設け、2~3年かけて報告書を作成する方針を決めた。新潟県に再稼働を認可する権限はないが、東電も「新潟県の検証が終わらない限り再稼働はできない」という方針を明らかにした。

福島事故については、政府の事故調査委員会と国会の事故調査委員会が、「全電源喪失が原因だ」という同じ結論を出した。今さら新潟県が検証しても、新しい問題が出てくるはずがない。これは「再稼働阻止」しか政策のない米山知事の、再選に向けての人気取りだろう。

柏崎の電力を消費するのは新潟県ではないので、再稼働しないことによる新潟県民の「安心」のコストは首都圏の電力利用者が負う。そのコストは柏崎の7基合計で、1日ざっと35億円。1年で1兆2000億円を超えるが、それは首都圏の電気代に上乗せされるので、新潟県民はそれに「ただ乗り」できる。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 学術博士(慶應義塾大学)

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