花粉症対策こそ働き方改革(その1)

2018年03月30日 18:00

出会いと別れの季節である春。咲き始めた桜の花びらにあの人を想う・・・

そんな感傷に浸れないほど国内が揺れている。嵐が吹いているといっても過言ではない。安倍首相が「働き方改革国会」と宣言し、
・時間外労働の上限規制
・高度プロフェッショナル
・裁量労働制の拡大

について国会で議論が行われ、データが適切ではないため安倍政権は裁量労働制の拡大を諦めることとなった。その後、今の森友政局に入ってしまった。

他方、国会の外は花粉が舞いまくっていて、一部の人は花粉との出会いと別れを繰り返している。

花粉症対策こそ「働き方改革」のメインテーマに!

多くの国民が苦しんでいる一方、なかなか問題解決が進まない。
国民病なのに国会で議論されることはない。

国民病とは、

国民の多数に蔓延(まんえん)して体位・体力を低下させ、生産性を減退させるなど、社会に悪影響を及ぼすような病気のこと。

まさにそう。ただし正式には、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎に分類される疾患である。

世間では「働き方改革」が叫ばれる中、なぜか言われないのが花粉症対策である。
しかも政府は「政府としては、花粉症は国民生活に多大な影響を及ぼしているものと認識している」と言っているのだ。

だから、今回の「働き方改革」のメインテーマの中心に!と思うのだ。
政府として医療費削減を掲げているのだから、それにも貢献するはずなのである。

問題解決が進まないのはエビデンス不足?

そもそも要因は整理されている。筆者も記事を書いているが、

【理由】
・政策の失敗
・スギ林の植え替えが進められない
・スギ林の植え替えの予算の優先度が低い
ということ。

ずいぶん「なぜ問題が明確なのに、対策が進まないか」を長らく考えていたのだが、筆者の意見はエビデンス不足にいきついた。

そもそも定義は

・体に入った花粉を異物と認識し、その抗体を作って排除しようとする反応
・具体的には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、嗅覚異常、目のかゆみや涙が出る、耳のかゆみ、皮フのかゆみ、頭痛、せきの発作、微熱、だるさなども
・病名ではなく、症状

となり、きわめて多義的ではある。

しかし、花粉症に関する継続的な全国調査は見受けられない。私が住んでいる東京都の「花粉症患者実態調査」は
・都内3区市の住民を対象
・前回調査から10年ぶり
という状況だ。

環境省の「花粉症環境保健マニュアル」には「日本において花粉症を有する人の数は、正確なところは分かっていません」とのこと。

エビデンスがあれば問題の共有に深刻さが増すと思うのだ。実感が持てないし、理解できれば、真剣さも増す。

経済への影響は人口知能をしのぐ?!?

経済への影響は色々な説があり、めまいがしてくるほどだ。
花粉症対策の市場関係者には悪いが、問題解決は必要だと思うので、経済影響を様々なタイプで試算結果をここに提示しよう。

(1)7500億円の経済影響
本村賢太郎氏による「花粉症対策に関する質問主意書」
では外出を控えるために個人消費が約七千五百億円減少との指摘もある。

この出典となった第一生命経済研究所 経済調査部のレポートを見てみよう。

ロジックは
・外食を含む食料費
・レジャー関連を含む教養娯楽費
・買い物に出かける頻度の影響を受ける被服履き物等
を中心に家計の消費支出が減少

ということである。

(2)民間の対策費用からみると2200万円?
旧科学技術庁の「スギ花粉症克服に向けた総合的研究」によると、
医療費と市販薬、マスクなどの医療関連費の合計で約2259億円である。

(3)治療費の財政への影響
アレルギー性鼻炎/花粉症/アレルギー性結膜炎の治療費で見ようとしても、花粉症としての定義が難しく、医者にかからないで自衛している人もいるのでのでなかなか見えない。

(4)仕事の能率は何十%低下
グラクソ・スミスクラインが2008年末に実施した調査では、生産性の損失を金額に換算。
・1日当たり平均5949円
・その根拠は「作業が2時間遅れる」
ということだそうだ。

他方、大阪大学名誉教授の荻野敏氏の意見だと「就労者の能率低下率は平均30%」との指摘もある。そのほか、労働時間の損失:年12日という調査もある。

それぞれ労働者にとっては影響は様々であるが、ケースバイケースというところか。

周りの友達に聞いたところ相当問題は深刻だ。「ほとんど仕事にならない」という人もいたし、「薬が必要であるが、薬によっては眠くなってしまう。そうなると仕事が全く出来なくなる」という人もいた。

薬にすがるにせよ副作用があるとなると、花粉症になった時点で、生産性の低下は必然なのだ。さらに「花粉症単体より、花粉症からの風邪はかなりしんどい」という声も聴いている。

アレルギー疾患対策基本法の徹底運用で国民を救え!

日本国民の26.5%(環境省、2014年)が「スギ花粉症」とのこと。さらに、花粉症の症状による睡眠への影響すら最近では言われている。ある調査によると、花粉症患者の76.8%(n=913例)の睡眠障害があるそうだ。

日本国民のうち、睡眠障害を持つ花粉症患者は20%くらいになってしまう。

国有地を適正な価格で売り払いまくってスギ林を植え替えてほしい。行政は「アレルギー疾患対策基本法」といった法律で対策に努力義務がある。春の季節の働き方改革においてはもっとも優先順位を高くしても国民的合意はとれるはず。

林業の成長産業化とかいう意味不明な政策の前にやることがある。

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西村 健
日本公共利益研究所 代表・主席研究員

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