今だから考えたい!障害者と健常者がイコールという発想

2018年03月22日 06:00

MOEKAさん(左3人目)、髙木さん(一番右)


4月から、改正障害者雇用促進法が施行される。法定雇用率は2.2%へ引き上げられる。しかし、企業側の理解が深まっているようには思えない。理解が深まらないのだから間違った認識しか残らない。3月19日にエントリーした「知的障害者とファッションをつなぐ元パリコレモデルの挑戦」の反響が大きかったので続編を投稿したい。

私は学生の頃から、障害者支援の活動をおこなっている。これまでに、全国50ヶ所以上で開催し、参加者総数は約2万人を数え、後援をいただいた国会議員や地方議員等は200名を超している。最近は行政や企業からのニーズも高まっている。また、福祉先進国であるアメリカを見習って、社会人になってからは毎年一定の寄付もおこなっている。

障害者と健常者がイコールという発想

『Just Smile!!』(発行:一般社団法人スマイルウォーキング倶楽部)の活動がユニークなのは、障害者のハンディを感じさせない活動にある。障害者支援を行う場合、健常者とのギャップをいかにして埋めていくかに意識が置かれる。しかし、ギャップを埋めることは簡単ではない。それほど社会は寛容ではないからである。

本記事のキャプチャーは、『Just Smile!!』を発刊した際の集合写真になる。モデルはMOEKAさん(左3人目)。イメージは「桜太夫」。高貴な高嶺の花をイメージしている。実はMOEKAさんに知的障害があるが、それを感じさせない演出である。こんな試みができるのも、元パリコレモデルの髙木真理子さん(一番右)が代表をつとめているからだろう。


『Just Smile!!』の表紙。モデルはMOEKAさん


「障害者と健常者がイコールというスタンスで運営しています。先輩、後輩はあれど、インストラクターもレッスン生も『お互いが教えていただく』という謙虚な気持ちでいて下さいと日頃から言っています。上から目線ではないことも言っています。そうすることで、障害のある子が“弱者”扱いされないので自信がついていきます。」(高木さん)

「知的障害は体が不自由ではないので、なんでもやってみよう!なんでも出来る!と前向きな気持ちで魔法をかけています。いまは、特別扱いしなくても、普通にレッスンしてるだけで強くなって自信がついていきました。どんどん可能性がひろがっています。」(同)

また、インストラクターは福祉のことや、障害のことに精通しているわけではないので、逆に先入観を持たずに変に気を使わず接することができると主張する。

「重度で言葉がわかりにくいメンバーもいますが、言ってることがわからない時は聞きなおすことが悪いとは思わず、何度もわかるまで聞き直したり、わかるまでコミュニケーション取ることで心も通い、アイコンタクトでわかるようになります。私たちのレッスンでは特別な配慮は一切しないんです。」(高木さん)

「レッスンサポーターに来てくださる学生さんには『何も気にせず一緒にウォーキングを楽しんでくれるだけで、サポートなんてしなくて大丈夫。メンバーが教えてくれるから』と毎回言って、笑って体験レッスンを楽しんで帰ってもらっています。」(同)

そして、この体験を通じて、知的障害者に対するイメージが変わったと言ってくれる若者が少しずつ増えてきているそうだ。このムーブメントがひろがれば、戦力ある人材としての就職が出来る可能性も高くなってくることだろう。

「知的障害のある人たちにも、いつでもどこでもジャージやスニーカーだけでは社会人になれないよってことで、身だしなみや服装、人前に出る準備はしっかりやる意識を持ってもらうようにしてもらっています。モデルの変化を見て『私もこんなになりたい!』と思わせる役目を担ってもらっています。」(高木さん)

「近い将来、さらなる挑戦は健常者の一歩“上”をいける知的障害者をデビューさせることです。福祉の世界ではなく、エンターテイメントの世界を目指します。」(同)

なかなか浸透しない社会福祉の実態

企業における事業の最大の目的は?と聞かれれば、「利益の追求」と多くの経営者は答える。私は、「利益は企業の目的ではない」と考えている。事業における効果や手順ではなく、有効であるかの適切性、つまりは妥当性であると考えている。妥当性があれば利益が上がり、妥当性がなければ利益が下がる。この妥当性とは社会からの評価である。

では、社員のなかで「企業の利益のために仕事をしている」と明確に答える人はどの程度いるのか。おそらく、「顧客のため」「社会のため」「家族のため」「自分のため」と答えるだろう。「利益を追求すること」が目的となれば批判は避けられなくなるからである。

日本には多くの障害者が存在する。しかし、障害をもつ人が社会参加を果たすためには、いくつかの「壁」を超えなければいけない。物理的、制度上の「壁」は、政治や行政の努力で取り除くことができる。しかし偏見や差別など、社会に根付いている「壁」を取り除くためには、社会福祉の概念を根本的に見直し意識を変革する必要性がある。そこに生きる人たちの心が貧しい社会であっては、ノーマライゼーションを創造することはできない。

なお、私は、表記について「障害者」を使用している。「障がい者」は使用しない。過去に、多くの障害者が権利を侵害されてきた歴史が存在する。言葉を平仮名にすることで本質をわかり難くする危険性があることから「障がい者」は使用していない。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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