中国では桜の楽しみ方も急速に進化している

加藤 隆則

3月27~29日まで無錫を訪れた。28日に恒例の無錫国際桜まつり開幕式があった。日本の有志が桜の植樹を始めて31年目を迎えた。植樹グループの日中共同建設桜友誼林保存協会はご高齢ながら、なお地道に活動を継続している。そこに数年前から上海にいる日本人留学生の一団が加わり、年々、活況を呈している。一方、中国の観光客が急増し、昨年から、記念イベントも週末から平日に変えざるをなくなったほどだ。この時期、携帯のウィー・チャットではあちこちで桜の開花を伝える写真が飛び交う。

確か5年前ほどだったか、上海総領事館のスタッフが日本に夜桜の習慣があることを教えたところ、すぐ翌年から夜間の開放が始まった。今では大盛況である。

以前は桜の前で写真を撮る程度だったが、今では桜の下にシートを敷き、日本の花見と同様、食べ物や飲み物を持ち寄って宴会も始まっている。年々の変化に驚くばかりだ。

今年は上海から日本総領事ばかりでなく、米国やアイルランド、エチオピア、シンガポールなど計七か国の総領事が参加した記念フォーラムが開かれるなど、国際色を強めた。日中関係が柱となり、他国に交流の輪が広がっていくのは、日本人として非常にありがたいことだ。上海の留学生グループにも、今回は日本以外の留学生が浴衣で参加した。

桜に囲まれながら、懐かしい友に会えるのはうれしい。授業の合間、慌ただしい無錫行だったが、得難い思い出がまた一つ増えた。旧友らは5月から6月にかけ、汕頭大学に遊びに来ると約束してくれた。これもまた桜が取り持つ縁なのだろうか。

もう一つ、忘れがたいことがあった。改めて書き残したい。


編集部より:この記事は、汕頭大学新聞学院教授・加藤隆則氏(元読売新聞中国総局長)のブログ「独立記者の挑戦 中国でメディアを語る」2018年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、加藤氏のブログをご覧ください。