次世代ITへの対応、見えてますよね。

日経新聞「次世代IT、規制見直せ」(12/19)によれば、日経・CSISバーチャル・シンクタンクが「次世代ITに適合した最適社会の実現に向けて」なる政策提言を発出したそうです。
その内容がぼくの問題意識と一致するうえ、活動内容にも密に関わるので、メモしておきます。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24771530Y7A211C1M13100/

提言は、労働力不足が一段と深刻化する中、技術革新による生産性の向上が不可欠で、「AI・ロボットに関する制度基盤の構築」により研究開発を促進せよと説きます。
日本の最重要課題は労働力不足であり、対応すべきはAI・ロボットの利用。同意します。

「学習済みAIの知的財産権の帰属・・といった新たな問題に現在の法規制や制度は十分に対応できていない」
そのためこの2年、政府・知財本部にて世界に先駆けAI知財問題を論議しました。
ただ、企業の及び腰はそのせいばかりとは言えません。
政府の対応と同時に経営者の覚悟も必要になっています。
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2017/05/blog-post_12.html

「データ規格の標準化やデータ流通の基盤整備を急ぐべき」
AIの開発はビッグデータの収集・活用がカギです。
データ流通市場などのITインフラ整備が重要です。
このため「データ流通推進協議会」を産官学で設立し、動き始めました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20171216-00079341/

「公的機関が保有するデータのオープン化も含め、産官学の連携を強化すべきだ」
産官学連携でオープンデータを推進するためVLEDが活動を続けています。
ぼくはデータ流通推進協議会とVLEDの双方の理事を務めています。
https://www.vled.or.jp/

「消費者の行動も「所有から利用」へとさらにシフトしていく」
はい、シェアリングエコノミーを広げることで経済の効率化や新産業の創生にもつながります。
シェアエコに関しても産学官連携の「共同規制」による環境整備が進められています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20170930-00076355/

ここでぼくがオヤっと思ったのは、提言が「働き方改革」や「スキルを持った人材の再配置」の支援に言及していること。
これは財、サービスに加え「労働」も「モジュール化」する文脈で語られています。
労働をモジュール化し、シェアエコの俎上に乗せる?賛成です。

シェアエコは大きいモノ(家=Airbnb、クルマ=Uber)から小さいモノ(自転車、ファッション)、そして人の時間やスキルへと広がります。
時間・スキルは全ての人が持つ資源で、そこにシェアエコの最大の可能性が秘められます。
それは人の時間・スキルを細分化=モジュール化して流通させることですよね。
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2017/10/blog-post_9.html

人の時間・スキルのモジュール化、つまり4足・5足のわらじを履かせて、多様な兼業を奨励して、共有・流通させる仕組み。
何足もわらじを履いてウロついている自分としては、その働き方が広がることに対して、うんみんなもそうすれば?と思う次第です。

「デジタル化による生産性向上を阻害する一因として「対面・書面規制や類似の社会的慣習」を挙げた」「社会全般に残る「対面・書面信仰」も含め、規制をゼロベースで問い直して「デジタルファースト」を徹底すべきだ」
御意。
政府・IT本部で対策を講じていますが、歩みが遅い。
どうにかしたいです。

「現役世代にAIの活用方法を学び直してもらう「リカレント教育」が急務だと指摘」
はい。
そのため、専門職大学として「i大」を設立することにしました。
IT、AI、IoTのリカレント教育を徹底的にやります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20171205-00078901/

次世代IT社会への対応、すべきことは見えています。

進めるだけです。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年4月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。