過労死漫画が話題!GW疲れを感じる前に気づいてほしい

2018年04月15日 16:00

画像は本記事紹介の書籍より。出版社許可にて掲載。

厚労省(自殺対策白書)によれば、2016年に自殺した人は、21,897人となり、22年ぶりに22,000人を下回ったことが明らかになった。年代別では15~39歳の死因第1位は「自殺」である(40歳以上、死因1位は悪性新生物)。15~39歳の死因第1位「自殺」は、先進国では日本のみで見られる現象であることから対策が急がれる。

従来から、若者の自殺率の高さは指摘されていた。調査結果からは、若者の自殺以外に中高年の自殺も顕著であることがわかった。今回紹介するのは、『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)。読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、など主要新聞でも取り上げられた過労死漫画である。現在12万部を超す大ヒットを記録している。

会社や仕事にしがみついてはいけない

本書の特徴は読みやすさにある。漫画と専門書の折衷でそれを表現しているが、漫画で説明することに違和感を覚える人がいる。私は漫画だからこそ、共感をよび多くの人に読まれたのだと考えている。最近はストレスによる精神的な疲れを感じている人が多い。そのような人に、文字で埋め尽くされた本が受け入れられるとは思えない。

本書には“漫画のもつ一種の心地よさ”が必要だったといえる。自殺寸前まで追い詰められた経験をもつ、汐街コナさんの作品だからこそ強いメッセージ性があった。それを、精神科医・ゆうきゆうさんが専門性の高い考察をすることで、読者は「人生を見つめなおすための道筋」をイメージできたのではないかと考えている。

「働き方改革」も言葉だけは浸透してきた。「働き方改革」は、一億総活躍社会の実現に向けたチャレンジであり、日本の企業や暮らし方を変えるものとして提唱された。厚労省が一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方を実現するため提唱したのだから一定の意味はあるのだろう。しかし、その実現はかなり難しいと申し上げておきたい。

また、ハラスメントの意味は「相手を不快にさせる行動」のことをさす。ブラック企業や過重労働による自殺問題がクローズアップされるなかパワハラに注目が集まった。しかし、パワハラや自殺問題を解決するための有効な手段が存在するとはいえなかった。本来、必要とすべき人には、なにも届いていなかったということになる。

ストレスフルに陥ると回避できない

本書内で「学習性無力感」について解説しているパートがある。それによれば、「長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなる」とされている。わかりやすい例では、サーカスのゾウがあげられる。本来、ゾウは力が強く、凶暴性がある。しかし、サーカスのゾウはおとなしい。

ゆうきゆうさんによれば、サーカスのゾウは、小さいころから足に紐をくくられ杭につながれて育っていることから、「抵抗してもムダ」とインプットされている。逃げるという発想がなくなっていると解説する。人間も過度のストレスを受け続けると、逃げ出すという選択肢がみえなってしまう。こうならないように気をつけなければいけない。

また、「会社を休む=退職する」と考えている人は少なくない。パワハラと言われようが、安全配慮義務違反と言われようが無くなることはない。職務遂行が困難になれば配置転換や降格は避けられない。休む間に職務内容や環境を調整してくれて働きやすくなる可能性もあるが、それができるのは一部の大企業に限られている。

厚生労働省「人口動態調査」の集計によれば、1年でもっとも自殺者が多いのは、夏休みが終わるの9月1日前後、2番目が新年度の4月になる。会社も上司も解決策を提示してはくれない。だから、あなた自身が自らを客観視しなければいけない。GW前のおすすめ本として紹介しておきたい。疲れを感じる前に気づいてほしい。

哲学者でありノーベル文学賞受賞者のバートランド・ラッセルは、『幸福論』のなかで次のように説いている。あなたの仕事の状況はいかがだろうか。

「人間は疲れれば疲れるほど、仕事をやめることができなくなる。ノイローゼが近づいた兆候の一つは、自分の仕事はおそろしく重要であって、休暇をとったりすれば、ありとあらゆる惨事を招くことになる、と思い込むことである。」(ラッセル幸福論)

尾藤克之
コラムニスト

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