山口達也メンバーが謝罪会見 芸能活動無期限謹慎 涙で「世の中を騒がせてしまった」 https://t.co/1hN6U5Lamu
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年4月26日
強制わいせつ容疑で警視庁に書類送検されたTOKIOの山口達也メンバーが26日、都内のホテルで会見を開き、事件について謝罪した。そして、会見からは飲酒の影響による疾患を治療するために入院していたこともわかった。今回は、精神科医、作家として活動をされている、樺沢紫苑医師に緊急取材をおこない独自の見解を伺った。
記者会見を見て判明したこと
「記者会見が、たまたま病院の休憩時間だったので、珍しく記者会見を生で見ました。多分、一般的の方とは全く違った見方で見ていたと思います。彼自身の発言から事実関係をまとめると見えてくるものがあります。事実を総合して考えると、本人は否定しているものの、『アルコール依存症』が強く疑われる状態です。」(樺沢医師)
「あるいは、その一歩手前の『アルコール乱用』です。なお、これはあくまでも、明らかにされた事実を基にした、私の個人的な見解です。」(同)
樺沢医師によれば、事実関係は次の6つに整理することができる。
(1)アルコールによる肝機能障害で入院していた。
(2)病院に入院して、そこから仕事に通っていた。
(3)退院日(事件当日)、退院してホッとしたこともあり、お酒を飲んでしまった。
(4)飲酒量は焼酎1本程度。
(5)事件の前後の記憶はほとんど覚えていないか、非常にあいまい。
(6)記者の質問については「依存症ではない」と答える。
さらに、「アルコール依存症」かどうかの診断基準はいくつか存在する。そのなかでも、(1)身体的依存と精神的依存、(2)問題行動。この2つがあると「アルコール依存症」と診断される可能性が高いとのことである。
「身体的依存とは、わかりやすく言えば『禁断症状』です。『離脱症状』ともいいますが、お酒が切れると、手が震えたり、汗が出たり、イライラや不安などの症状が出て我慢できなくなります。精神的依存とは、飲みたくて、いてもたったもいられない状態。飲まないでいると『どうしても飲みたい』という衝動にかれることです。」(樺沢医師)
「彼の場合は、退院した当日から飲んでいることから、『精神的依存』は間近いなく存在します。一方で、入院中は飲んでいなかった(おそらく)。飲まないでも、著しい禁断症状は出いなかったと考えられるので、『身体的依存』まではいっていないでしょう。」(同)
その意味で言うと、「身体的依存」はないので、厳密な意味で狭義の「アルコール依存症」ではない。彼自身の「依存症ではない」という言葉は正しいともいえる。
「アルコール依存症の『問題行動』というのがあります。『問題行動』とは、お酒を飲んだ状態でおきる様々な行動を指します。具体的には、異常酩酊(記憶がなくなる)、暴力、暴言、セクハラ、パワハラ行為。さらに自動車事故や転倒による怪我なども含まれます。今回の事件では、セクハラ行為を行い、その記憶が全くないということですから、明らかに『アルコールによる問題行動』がある、ということです。」(樺沢医師)
「診断でいうと、『アルコール依存症』まで行っているか、いないのか。厳密にはわかりませんが、『アルコール依存症』の一歩手前の状態(アルコール乱用)ではあるでしょう。いずれにせよ、『アルコール関連障害』なのです。」(同)
樺沢医師によれば、「アルコール依存症」や「アルコール乱用」「多量多飲者」などを全て合わせて「アルコール関連障害」というそうだ。
お酒に呑まれるということ
お酒に呑まれて、記憶がない状態で、他人に迷惑な行為をしてしまう。時に犯罪行為をしてしまうというのが、「アルコール関連障害」の特徴になる。
「今回の事件を『たまたま運が悪かった』と思う人もいるでしょうが、彼がお酒をやめない限り、いずれは何らかの事件やトラブルを起こしていたことは間違いないでしょう。つまり、今回の事件は必然的、おこるべくして起こった事件です。日本人で、アルコール依存症と予備軍は300万人。ハイリスク飲酒群で、約1000万人います。」(樺沢医師)
「ちなみに、10年以上毎日飲酒している人は、ほぼアルコール依存症予備軍です。そんな人、いくらでもいますね。私の友人でも、何人もいます。しかし、アルコールで肝機能障害を起こして、ようやく退院したのに、その日から早速、酒を飲んでしまう。常識で考えるとありえない話。だから、『病気』(異常な状態)なのです。」(同)
自分のコントロールを失い、お酒にコントロールされてしまうので、何をやらかすかわからない。お酒を飲みすぎると、人生を棒に振る危険性があります。
「記憶がないのにこんなことになってという表情は可哀相な気もしますが、理性や意志に反して、大変なことをしでかしてしまうというのが、お酒の怖ろしいところです。私は、城島リーダーの番組『ニューベンゼミ』(NHK)に出演していることもあり、『TOKIO』は好きなグループです。『お酒』と決別して、帰ってきて欲しいと思います。」(樺沢医師)
報道に公平性はあったか
筆者は本件について、ここ数日の報道で感じたことを述べたい。まず、セクハラが社会問題化するなか、メディアはなぜ有名芸能人に忖度をするのか。財務省、福田事務次官の時とは対応にかなり差があるように感じる。報道の公平性は遵守されているのか。
今回、山口達也メンバーの記者会見は極めて迅速だったと考える。不倫や事件後に逃げ回る政治家、不倫後に雲隠れする芸能人がいるなかで誠意を感じた。あとは送検後の処分内容や世論の判断、メンバー4名の意思が重要になるだろう。「お酒」と決別して、復帰して欲しいと思うが、センシティブな問題だからこそ報道の公平性が問われている。
尾藤克之
コラムニスト