「森友・加計国会」の失われた1年半

5月30日、1年半ぶりに党首討論が開かれ、国民民主党の玉木雄一郎代表は15分の持ち時間をすべて経済政策に使った。国会で政策について党首が討論するのは当たり前だが、立憲民主党や共産党は相変わらず森友・加計問題にすべての時間を費やした。討論が終わってから、安倍首相が玉木代表に駆け寄って握手を求めたのが印象的だった。

党首討論がなくなったのは、2017年2月に森友学園のスキャンダルが始まってからだ。それ以来、野党がスキャンダルばかり議論してきた国会は異常だった。これは野党が政策論争を避けて一方的に追及しようとしたからだが、安倍政権を攻撃しても野党の支持率は合計10%に満たない。さすがに国民民主党もあきらめて、方向転換を図ったのだろう。

マスコミの受け売りで騒ぎ続けた野党

国会から政策論争がなくなったのは、2015年の「安保国会」が不発に終わってからだ。あのときは曲がりなりにも安保法制という政策が争点になったが、安倍政権は倒れなかった。野党は「立憲主義」という意味不明のスローガンを掲げたが、2017年10月の総選挙でも自民・公明が圧勝した。

野党が政権を取る展望はまったくないが、スキャンダルをしつこく追及すれば内閣支持率が下がり、安倍首相が政権を投げ出す可能性はある。それが野党の狙いだと思われるが、リクルート事件のような贈収賄につながる事件ならともかく、妻が名誉校長になったという程度の話で首相が辞任するわけにはいかない。

野党も決め手を欠いたまま、マスコミが小出しに報道する話を国会で受け売りし、それに場当たり的に対応した安倍政権の危機管理のまずさが事態を長期化させた。唯一の見せ場は、今年(2018年)3月に森友学園にからむ近畿財務局の公文書改竄が発覚したときだったが、これも不起訴に終わりそうだ。

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