新潟知事選、下劣な花角氏へのネガキャンに開高健が泣き、産経も唖然?

2018年06月04日 11:30

新潟県知事選(6月10日投開票)は残り1週間となり、報道各社の情勢調査が出揃ってきたが、意外な展開になった。近年の大型選挙で新潟は野党側が優勢で、辞任した米山隆一前知事当選も左派野党の共闘によるものだったことから、今回も与党サイドの苦戦が予期されたが、各社の調査では横一線に近い激戦の様子という。

ただ、反安倍政権の朝日新聞の情勢調査で、与党側支援の花角英世陣営が「やや先行」と出ている。また、「横一線」と書いている他社の記事でも、花角氏の名前を、野党5党推薦の池田千賀子氏よりも先に書いていることから、おそらく数%程度の差で花角氏がリードしているとみられる。

ネガキャンや中傷を受けている花角英世氏(公式サイトより)

しかし、選挙プランナーの松田馨氏がNewsPicksで指摘するように、JX通信社の調査では無党派の支持では、池田陣営が上回っている。一般論として、選挙では、態度未定の有権者は終盤に投票先を決める傾向があることを考えると、花角陣営は全く気を抜けないだろう。むしろ、ネット上では、池田陣営側を支持する人たちや左派的志向のメディア関係者などが「予想外の苦戦」に業を煮やしたのか、花角氏に対する誹謗中傷やネガティブキャンペーンが横行しており、花角陣営は危機感でいっぱいのはずだ。

「新潟県には、女性の知事は必要ない」動画の拡散をもたらす無責任

筆者は新潟知事選に関しては傍観者に過ぎず、たまに報道で情勢を眺める程度だったが、ここ数日のネット空間のあまりの荒れ具合に呆れるものがあった。

まず、ひどかったのは、フリーランスライターの畠山理仁氏がブログに動画をアップし、それ以後の「責任逃れ」に等しい発信ぶりだ。動画は、花角候補の応援演説に来た地元商工会長が「新潟県には、女性の知事は必要ないんです」と発言したというもので、転載先のBLOGOSが拡散に「加担」している。

たしかに地元商工会長は、そうした発言をしている。真意は不明だが、この言葉自体を表面的にみれば、男女差別ととられかねない。

一方で、左隣にいる元知事の泉田裕彦氏(現自民党衆議院議員)は首をかしげ、あきらかに困惑した表情を浮かべている。花角氏が本件をどう思っているかは知らないが、少なくとも応援にきてもらった陣営サイドとしては本意ではないようにみえる。

政治家ではない応援者の「失言」をそのまま報道することが「事実」か?

問題は畠山氏が熟慮した上で、この情報を発信したようにみえない点だ。商工会長はプロの政治家ではないはず。仮に花角氏本人や、応援に来た国会議員、県議などが同じような発言をしたのであれば、非難されても仕方がないが、当然彼は公人ではないし、一市民による「素人演説」のなかでの発言だ。

もし、男女差別の意図がなくて、花角氏を応援する熱意のあまり、問題発言がとびだしたものであっても不用意で迂闊な発言であることには変わりないが、花角候補本人にとって「ありがた迷惑」であろう発言を動画で拡散させ、そのマイナスの影響を考慮したようにはみえない。

というのも、これが一般的な新聞であれば、商工会長が確信犯による差別発言なのか、ただの演説素人による失言なのか見極める上で補足取材をしてから、報道するべきかどうか、あるいは報道するにしてもどの程度の問題価値があるのかを熟慮し、組織的に検討してから報道されるようなものだからだ。

一方、畠山氏は4日朝現在、ブログで商工会長に真意を探った取材結果を提示していない。顔と名前だけは流さないという編集上の配慮こそあれ、肝心の「ウラ」を取らないままの生情報が拡散することで、早合点したネット民が、花角氏が「新潟県には、女性の知事は必要ない」と演説したかのように拡散させる結果を招いている。

一応、畠山氏は、ツイートで注意喚起こそした上で、

「誰がどの候補者を支持するかは私の関知するところではありませんが、どんな立場であれ、事実を軽視して他者を攻撃する方々がいらしたことに強い憤りを覚えました。私にとって大切なのは「事実」です。」

などと述べている。しかし、その事実が自身のウラ取りや選挙戦への影響を十分斟酌した末で提示した「事実」なのか。彼は安倍政権に批判的な言動から、左派的なイメージをもたれているので、事実提示といっても、これでは「本音は池田候補を勝たせたいがための印象操作やネガティブキャンペーンを確信犯で行っている」という疑いがつきまとっても仕方がない。

活動家ジャーナリストと一線を画していたはずだが…

畠山氏は選挙戦の泡沫候補への熱心な取材でしられる。2014年都知事選の折には私が事務局長だった家入一真氏の選挙活動も取材にきてくれた。長年の精力的な取材活動の労苦が実り、昨年は集英社の開高健ノンフィクション大賞の第15回受賞の栄誉によくした。私とは政治的価値観が異なるものの、山本太郎氏らとの連携が見え隠れする田中龍作氏のような「活動家ライター」と異なり、プロのジャーナリストだと思って一定のリスペクトを感じていただけに、このようなアンフェアなレポートは残念でならない。これでは開高健の名が泣くのではないか。BLOGOSも実質的に放置していいのだろうか。

もし、池田候補を支持するのであれば、旗幟を鮮明にすべきだ。「誰がどの候補者を支持するかは私の関知するところではない」などという事後の発信を見ていると、私は白々しく思えるが、どうなのか。

ところで、反自民ネガキャンという点では、ハーバービジネスオンライン(HBO)のここ最近の記事には意外な驚きばかりだ。今朝はとうとう新潟知事選に「参戦」し、「新潟県知事選で花角英世候補支援の自民党議員が、相次いで“利益供与”“脅し”発言!?」なる記事を掲載している。

なぜ驚くかといえば、HBOは、安倍政権擁護の産経グループの扶桑社が運営しているからだ。この反安倍路線への唐突な「急旋回」「離反」の背景は一体なんなのだろうか。グループ内の「窓際メディア」にわざと反安倍・反自民路線をやらせて全体のバランスをとってるのか、それともHBO編集部に特定の政治志向の人間が入って自由気ままにやっているのか、産経本体の反応が気になるところだ。

(※畠山氏が受賞したのは、第17回ではなく第15回でした。本人の指摘により訂正します。)

(追記6日8:20:畠山氏はツイッター本音は池田候補を勝たせたいがための印象操作やネガティブキャンペーンを確信犯で行っているという嫌疑について否定した。)

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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