参院議長による懲罰委付託は既に無効?平成のうちに国会法の抜本改正を

足立 康史

20日をもって今年の通常国会が事実上閉幕しましたが、9月の自民党総裁選を経て秋に召集される臨時国会に向けて、3つの課題に挑戦していきたいと考えています。第一は、安倍総理が総裁選の「争点になる」と明言された憲法改正、第二は、懲罰基準を含む国会改革、第三は、野党再編と党改革です。

1.改憲発議に向けて維新がリードを

第一の憲法改正について、特に憲法9条の改正については、新刊逆襲本にも詳述しましたが、自民党の中でこねくり回した自民党案のまま発議することは不可能、公明党さえ付いて来れないでしょう。ついては、維新が主導的役割を担いながら、発議が可能な案を提起し、憲法改正の発議を実現してまいりたい。

2.平成のうちに国会法の抜本改正を

第二の国会改革については、小泉進次郎議員の「平成のうちに」衆議院改革実現会議が失速したため、別のモメンタム(勢い)が必要となっていました。そう考えていた最中、昨日の参院本会議で、なんと無責任野党議員らが垂れ幕を掲げ続けるという懲罰事犯が発生、願ってもないモメンタムが生まれました。


20日の参院本会議で伊達忠一議長は、山本太郎、森ゆうこ、そして糸数慶子の3氏について、参院懲罰委員会に付託することを決めましたが、会期末22日の前々日である20日に生じた懲罰事犯を次の国会で審議する規定が国会法に規定されておらず、審議未了で廃案となった可能性があると見られるのです。

週明けに参議院事務局に確認しますが、参議院で昨日のうちに懲罰委員会が招集され継続審議を決めた形跡はありませんので、法律を読む限り、伊達議長が職権で委員会への付託を決めたにもかかわらず3氏の懲罰事犯は付託されず審議されることもないという、国民感情を裏切る前代未聞の事態となるのです。

こういう事態が生じた直接的な原因は、国会が週休二日になったにもかかわらず、そうした慣習が国会法に反映してないからだと考えられますが、そもそも日本国憲法とともに施行されて以来、抜本改正が行われてきていない国会法。日本で最も時代遅れの国会法の抜本改正に、私はチャレンジをして参りたい。

3.国政維新は共同代表選を実施せよ

言うまでもなく国会は国権の最高機関です。その国会には、1)立法、2)行政監視に加えて、3)内閣の選出、という最重要の役割があります。つまり、首班指名を通じて新政権を樹立する、足元に引き寄せて言えば、ポスト安倍を構想し実現することです。衆議院議員の最も大事な仕事は当にこれなのです。

私は、9月の自民党総裁選挙で安倍総理が3選を決めるのは確実だと思っています。しかし、大事なことは、安倍3選が決まった日から、その次の政権の樹立に向けた競争が始まるということです。特に、参院定数6増法を成立させた自民党は、来年の参院選で大逆風に見舞われる、そう懸念をしているのです。

今の野党の中で一番勢いがあるのは、言うまでもなく立憲民主党です。その支持率に敬意を表する観点から私も立憲パートナーズに登録しましたが、そうしてウォッチする中で分かったのは、立民党のあまりの中身の無さでした。彼らには、小泉純一郎元総理が唱える原発ゼロ以外に柱となる政策はないのです。

来年の参院選で大逆風に見舞われる自民党、そこに勢力を拡大するのが中身ゼロの立憲民主党では、国民に申し訳が立ちません。今こそ維新が、結党の理念に立ち返り、党勢拡大に走り回らねばならないのです。ところが今の執行部は何にも考えず、のんびり、その場その場の仕事をやり過ごしているだけです。

私が最近、野党にも、与党にも、そして維新執行部にも厳しく当たるのは、こうした危機感からでした。9月には自民党のみならず国民民主党も代表選挙を迎えます。日本維新の会も、国会議員団22名の代表(=共同代表)を選挙で選び、その再生を図るべきです。もちろん、誰のためでもなく日本のために。


編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2018年7月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。