専門家が解説!円高になると世の中はどうなるの?

2018年08月05日 06:00

画像は書籍書影(筆者撮影)

毎日のニュースで「円高・円安」「為替相場」などの言葉が飛び交っている。「為替」とは何なのか?「円高・円安」になると、私たちの生活にはどのような影響があるのか?円高・円安の解説から、為替が私たちの仕事や生活に与える影響、為替データの読み方、為替が動く理由などを簡単に理解する方法はないだろうか。

今回は、『為替が動くと、世の中どうなる?』(すばる舎)を紹介したい。著者は、角川総一さん。公社債新聞社、日本債券新聞社等を経て、金融データシステムを設立。わが国初の投資信託データベースを管理・運営するかたわら、各種雑誌、新聞、ラジオなどで金融・証券を中心とした経済評論家として活躍している。

そもそも為替とは何だろう

定時ニュースの終わりには必ず「日経平均株価は」と並んで、「今日の円相場は1ドル=109円58銭と前日終値に比べ20銭の円高で」とアナウンサーが伝える。ところが、「為替」の意味について理解できていないビジネスパーソンは少なくない。

「為替相場とか為替レートは、決して難しくはありません。仕組みはカンタン。しかも為替の動きは、経済の様々な動き(景気や物価など)と深い関係があります。為替がわかれば経済や、生活の動きもわかるのです。円やドルやユーロは、『為替相場』と言われるように、いろいろな要因によって変動します。」(角川さん)

「各国通貨に関する為替相場のニュースや、解説記事が報じられるのは、為替相場の変動が、世界の経済·政治その他に、大きな影響を及ぼすからです。」(同)

では、「為替相場」が動くと、どんなことが起こるのか?「相場」と言うくらいだから、為替は変動するのだろうか。角川さんは次のように解説する。

「『1ドル=100円』で通貨をやり取りして貿易などをする場合もあれば、『1ドル=110円』になったり、95円にもなるんですね。為替は様々な要素が絡んで動きます。たとえば円と米ドルだけに関して言えば、アメリカの政治経済が不安定になれば、ドルの価値は下がって円は高くなるというのが原則です。もちろん為替変動の原因は他にもいろいろあるのですが、ここではとりあえず、そう覚えておいてください。」(角川さん)

「『1ドル=100円』が『1ドル=90円』になることが円高です。ドルに対して円が強くなるわけですね。100円を用意しなければ1ドルに換えられなかったのが、90円でよくなるのです。円の価値が上がり、ドルの価値が下がったわけです。では、為替が動いたら世の中にどんな影響があるのでしょうか。生活にどう関係するのでしょうか?」(同)

円高になると、株価が下がる

角川さんは、円高は、ほぼ90%以上の確率で日本株を下落させると解説する。これは、日本の産業は輸出関連企業の影響がとても強いことが理由である。

「ちなみに、産業界を牛耳っている経団連の歴代の会長は、ほとんど輸出メーカーの首脳です。それまで『1ドル=100円』で輸出していたのが、『1ドル=90円』になったら、同じ1ドルのものを輸出しても日本企業の売上げは100円から90円に減ります。となると、日本企業も苦しくなり株価も下がる。日本の代表的な平均株価を構成している日経225銘柄は、輸出中心の企業が占める割合が高いのです。」(角川さん)

「マーケット関係者の頭のなかでは『円高=日本株下落』『円安=日本株上昇』というイメージが強くあります。株が下がれば株を多く持つ富裕層は、『ソン』するわけですから、消費が減ります。言うまでもなく景気を悪くすることになります。」(同)

「円高」ひとつで、「輸入原油価格の下落」「工場を輸出先の国に移転」「外国人観光客の減少によりインバウンド消費が停滞」「米国のインフレによって金利が上昇し米国株下落を引き起こす」など、さまざまな影響をシミュレーションできる。

本書は、用語の説明から為替が経済に与える影響までわかりやすく解説されている。知っていればビジネスでも、日常生活でも、役立つ情報といえる。それは、「その他大勢」(言いかえるなら単なる普通)から抜け出すためのヒントになるかも知れない。

尾藤克之
コラムニスト

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