平成バブルは二度崩壊の予感

2018年08月05日 11:30

最近、中国やシンガポールや台湾、ベトナム、フィリピン、香港と良く出張するのだけれど、何となく、かつてのようなほとばしる経済興隆の勢いがなくなってきたように思える。シンガポールの和食店のご主人に聞いてもメッキリと客足が落ちているということだ。高い寿司も売れないそうだ。

今年の初めには中国の湖南省にある長沙という首都に出張した。州政府に蓄電池に関する世界展望に関する講演を頼まれたからだ。長沙は黄河にほど近い肥沃な大地が続く毛沢東の生誕地の良い街だ。平和堂という繁華街の中心にある老舗日系百貨店は業績が伸びているそうだが、郊外にある湖の周りにあるいわゆるニュータウン、地上80階のシェラトン系ホテルやウォルマート、スターバックス、ユニクロが入るモールには人影がほぼない。湖を取り囲むタワーマンションに生活の気配は感じられない。でも、マクロ経済で見れば中国の貿易黒字は順調だそうだ。

日本に目を転じると、そういえば、昔毎年「超円高で日本終了」「アベノミクス大失敗」という本を書いていた髪型に特徴のある関西私大の名物女性大学教授も、関東超一流私大経済学部のの暗い顔をした男性大学教授もメッキリ見なくなった。モリカケやその後の官僚不祥事で内閣支持率は総じて低いが、メディアからも自民党からも安倍おろしの声は聞こえてこない。テレビをつけると、日大アメフト問題やアマチュアボクシング協会会長のバッシングが続く。平和だ。とても平和すぎる。何か奇妙な違和感を覚える。この感じ何となくどこかで覚えている。そうだ、1980ー90年代のバブル景気の頃と雰囲気がとても似ている、と思いついた。

先月の週末金曜日の午後10時僕は銀座のコリドー街にいた。いわゆるプレミアムフライデーだ。そこは身動きが取れないほどの人で一杯だった。ここ30年近く当地を訪れるが、こんなの初めてだ。もちろんインバウンドの外国人観光客も多くいたけれど、明らかに30ー40台の日本人会社員がごった返していた。

そういえば去年の今頃生まれた始めて銀座のクラブに行った。そんなスノッブなところは好きではないが、知り合いに頼まれて二度と付き合った。ママがもう一店舗出したい、このビルの階上がフルで空いたので買いたいと言っていた。作れば儲かると。たしかにやり手のママではあった。いわゆる同伴をさせられた超高給中華は3ヶ月先まで予約で一杯だそうだ。

だいぶ前置きが長くなった。ここからが本論だ。昨日から今日の日経新聞に4つの記事が載った。

世界の金利に上昇圧力 日銀政策変更が契機に 

米、安保協力3億ドル 中国念頭、ASEAN支援 

南シナ海問題で米中外相が応酬 

貿易戦争、中国「弾切れ」近づく

この四つの話が同時に出たのは恐らく偶然ではない。

2007年のリーマショックから上海株式市場暴落でグローバル経済はほぼ終焉してたのに、中国が桁外れの公共投資で供給過剰なエコシティという都市開発、新幹線、PVパネル蓄電池・電気自動車と海外投融資を進めた。恐らく相当な外貨準備金を取り崩した筈だ。日欧米がマイナス金利で資本市場をジャブジャブにしたので世界経済はロスタイム入りした。だから、先ほどの大学教授の本の通りにはならなかった。

ところがこの一ヶ月で状況が逆転してきた。すなわち、この流れが逆回転し始めた。金利上昇で金も下がり、新興国株式も売られはじめている。さらに財務省に10年に一度の大物岡本事務次官就任した。産経新聞や読売新聞、毎日新聞は誤報を打った。毎日新聞はこの1ヶ月、二度も別の事務次官で決定という誤報を打った。それだけ、財務大臣官房と、首相官邸が綱引きを繰り返したということだ。黒田日銀総裁は少しずつ長期金利を上げに動いている。これは明らかに消費税10%引き上げに備えたシフトだと専門家は見ている。増税直前に大規模な金融緩和を行えるようのりしろを作るためだ。

するとどうなるか?最悪、世界的なグローな経済バブルの崩壊と、消費税10%引き上げというダブルパンチに見舞われる可能性がある。

インバウンドに頼ればいいという楽観論が広がる。インバウンドはパタッとこなくなる可能性だってある。家計への収入が減れば、真っ先に削るのは旅行費だ。今は、グローバル経済のおかげで所得が上がった中間層が、外貨を解禁されて、LCCで大挙して押し寄せている。しかし日本の行動成長期、ジャルパックでハワイやグアムにこぞって出かけた農協の人たちはリピーターになっただろうか?もちろん希にはいるだろうが一回行けば十分という感じだ。ハワイはともかくグアムやサイパンで日本人旅行客は明らかに減っている。

だから今のインバウンドは恒常的に続くとはとても思えないし、今東京や大阪でホテル建設ラッシュだが、これが完成することにバブルが崩壊するかと思うとゾッとする。開発事業者、ゼネコン、投資家(REIT)の受ける打撃のあの悪夢が蘇る。過疎で悩む地方金融機関は特に危ない。

僕はオカルト経済学は好きではないので出来るだけ、このような最悪な状況は避けてほしいと心から思うが、こればかりは予見不可能だ。

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酒井 直樹
株式会社電力シェアリング代表

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