サマータイム阻止、ダメ押しは進次郎・三木谷・あのメディア王

2018年08月14日 06:01

首相官邸サイトより

東京オリンピックでのサマータイム導入を巡り、リアルとネットの「世論格差」が目立つ。NHKが8月上旬に行った世論調査で賛成派が51%を占め、朝日新聞も同時期の行った調査で53%が賛成に回った。

一方、ネットメディアではアゴラの池田信夫は言うに及ばず、現代ビジネスでは安倍政権支持派の高橋洋一氏長谷川幸洋氏からですら異論が噴出。ほかにも多くの専門家から、準備期間に乏しい中での対応コストを憂慮する声があがっている。

この問題は当初、産経新聞が火付け役で、6日朝刊で議員立法化の動きを特報した。産経の書きっぷりは、「五輪だけでなく、通勤・通学の酷暑対策としてサマータイムは切り札となる」などと煽り気味で、情報提供元が推進派だったことがわかりやすい。菅官房長官は産経報道があった直後の記者会見で「政府としてサマータイム導入を目指すとの方針を決定したという事実はありません」と冷ややかな反応を見せた。

また野党からも維新の松井代表が「五輪のためだけの導入なら反対」とけん制。専門家からも酷評が相次いだためか、当の産経も9日の社説で「混乱回避が導入の条件だ」とトーンダウンした。読売新聞は様子見なのか、休刊日前最後の12日までの新聞で社説は出していないが、朝日新聞は同日の社説で「あまりに乱暴だ」と拙速な動きに反対する姿勢を明確にした。

とはいえ、これで反対派が「勝負あった」とするのは早計だろう。「騒動」の張本人である森喜朗氏が翻意したという動きは、13日夜現在、報じられていない。政界は引退したとはいえ、いまだに首相に直接物を申せる立場であり、世論が抵抗した時こそ頑なになる可能性もあり得る。トドメを刺すまで油断は禁物だ。

お盆休みに入ったこともあって、世間の関心は一時的に薄まりそうな気配だが、仮にこのあとも森氏が導入論に固執するようであれば、反対派は世論を盛り上げて包囲するしかあるまい。そして反対世論形成のカギとなるのは以下の3人がどう動くかだ。

1人目は、永田町随一の大衆への発信力がある小泉進次郎氏だ。先日インド訪問から帰国したばかりで、この問題でまだ態度を明確にしていないが、本人も含め、仲間の若手議員たちも、デジタルネイティブ世代であり、反対派が指摘するITインフラの改修対応コストの問題を即座に理解できるはずだ。小泉氏が反対に回り、得意の弁舌でわかりやすくその理由を大衆向けに「解説」すれば世論の流れはかなり変わる可能性がある。

新経済連盟サイトより

2人目は、新経済連盟の三木谷浩史代表。ネット、ITの業界団体の雄として政界への影響力は一程度見込める。新経連はまだ明確に方針を固めてないが、時間も人手も足りないなかでの対応を強いられる当事者として反対の声明を出せば、小泉氏らが森氏に異論をぶつけていく中での“理論武装”にもなるだろうし、マスコミが「反対陣営」の旗手の一人としてクローズアップするだけの発信力はある。

新潮社「反ポピュリズム論」より

3人目は、デジタルエコノミーから伝統的エコノミーに視線を急旋回することになるが、読売新聞グループの渡辺恒雄会長が挙げられる。別に私の古巣だからいうのではなくて、御年92にして、いまなお政界の重鎮クラスにも隠然たる影響力があることは公然の事実だ。

読売新聞が休刊日前までに旗幟を鮮明にしていないことは先述した通りだが、実は、過去の社説では、環境省がサマータイムを推進していた頃に「試してみる価値はあるかも」(2004年8月4日朝刊)「一度、導入してみては」(2008年6月4日同)などと明確に推進派に回っている。

東日本大震災後も読売新聞は社説で、企業が自主的に取り組む節電策の一環でサマータイムに言及しているが、その後は国家規模での導入は取り上げていないようだ。10年前に明確に推進していた時期と比較して、社会のIT化が進み、少なくとも来年からのサマータイム導入というのは、かなり難しいことが専門家から指摘されるなかで、どのような社論を示すのか。読売がかつての論調を変えて、拙速な導入への慎重論や反対論を掲げることになれば、森氏ら推進派もさすがに無視はできまい。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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