阿波おどりにおける「総踊り」強行は、政治家の敗北

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

お盆ですので、本日も都政以外の話題をば。

徳島の風物詩であり、日本最大級の祭りである「阿波おどり(阿波踊り)」が大変な危機を迎えています。

この問題の発端は、阿波おどりが実は大変な赤字イベントであることが明るみに出たことで、徳島市・徳島観光協会・徳島新聞という運営に深く関わる三者の利害対立が激化したことです。

●徳島の阿波踊りが「イベント地獄化」した理由(東洋経済)
●阿波おどり「4億円超の大赤字」に地元の不満が噴出!(現代ビジネス)

この背景については、すでに多くのメディアで報じられ、分析されています。

私事ですが、この阿波おどりには2012年・2013年と連続で参加していたこともあり、県外の人間ながら個人的にかなり思い入れを持っています。

「東大連」という連(チーム)に混ぜていただき、2012年は丸4日間、2013年は2日間に渡って踊り狂わせてもらいました。

学生時代を学園祭運営に捧げたお祭り野郎で、

「どうやったら日本一の祭りを作れるのか?」
「全員が時間を忘れるような非日常空間を、どう作り出せばいいのか?」

などを考え続けてきた人間にとって、初めて参加した阿波おどりはそれはもう「衝撃」の一言でした。

街中が祭り一色となる非日常感。
踊り手も観光客もパフォーマンスを通じて一つになる一体感。
場所と時間を忘れるほどの高揚感。

そのすべてがすごすぎて、楽しくて、「こんなにおもしろいことに、大人になっても初めて遭遇するのか?!」ってくらい、毎日ゲラゲラ笑って楽しく過ごしたことをよく覚えています。

実際に参加した身からしても、あれだけ盛況なイベントが「赤字」になるということはちょっと信じられず、運営方法や利益構造に相当の問題があったことは間違いありません。

なお余談ですが、阿波おどりのように日没からが勝負となる日本の祭りには、サマータイムはまったく適していないことを付記しておきます。。

さて、運営者たちの対立は最後まで解消されず、市長からの再三の警告にもかかわらず、一部の連による「総踊り」が昨晩強行されたようです。

中にはこのように「踊り手同士・参加者同士」の対立も見られるようで、事態は行政(主催者)VS参加者という単純な構造にとどまらない様相も見せています。

今後どうなるか余談は許しませんし、各々の立場から主張はあると思いますが、これは明らかに市長を含む政治家側の利害調整の失敗例です。

「政治」というのは、このように複雑に利権や思惑が絡む案件における利害調整こそが、その役割のはずです。

ここで「落とし所」を見つけることができずに本番に突入し、最終的に象徴的なイベントである「総踊り」まで強行されてしまった市長の責任は、残念ながら重いと言わざるを得ないでしょう。

今後、この混乱をどう収集していくかに、政治家としての手腕と力量が問われています。

どこか一つの勢力の意見を代弁するのではなく、徳島市民や「阿波おどり」そのものを第一とした姿勢で問題解決に取り組み、穏当な決着へと舵取りが行われることを願ってやみません。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。