杉田水脈代議士へのメディアリンチ顛末その後

2018年08月27日 18:30

「NHK、朝日、文春が揃って杉田水脈の“人権蹂躙”」という記事をすでにアゴラでも書いたが、それを見て、「新潮45」所収の記事の解説も含めて書いて欲しいと「月刊 Hanada」からご要望があったので、10月号に「杉田水脈議員へのメディアリンチ」というかたちで掲載した(タイトルは編集部がつけたもの)。

私は杉田さんとはLGBT問題についての意見は違う。なにしろ私は「脱亜入欧論者」だから(笑)、ヨーロッパの大勢が向かうところが確立したら、少し遅れても追随しておくことが日本の国益を守るという考え方だ。

したがって、死刑は廃止ないし執行停止すべし、捕鯨も無理して続ける必要なし、LGBTについての扱いもそろそろ方向転換が必要だという主義だ。マリファナも一気に解禁の方向に流れて行く可能性が有り、日本もそうなったときの準備をする必要があると思っている。

しかし、保守派がそんな簡単に追随する必要がないとか、日本は世界で完全に孤立しているわけでもなかったら、ヨーロッパの大勢に従うこともあるまいというのを意見として表明する自由を制限するのは反対である。

そういう意味で、新潮45論文の杉田氏の意見の中身はひとつの考え方としてなら何の問題もない。ただし、揚げ足をとられないようにという意味では、念入りな注意が足らなかったのが問題なだけであり、そのへんをHanadaの記事では詳しく解説してある。

衆議院インターネット中継より:編集部

自民党内からの批判があることについては、自民党がLGBT問題について、あまり世間で知られないうちに、野党の先回りをするような形で意外なほど前向きに取り組んでおり、その人たちから余計なことをいうなという批判があったのだと思う。

ただ、自民党内も世間もそれほどコンセンサスがこの問題について進んでいるわけでもない。もし偏見を持つべきでないというなら、家族が同性と結婚したいといったとき反対してはならないはずだが、そこまで意識が進んでない人が多いはずだ。

ともかくヨーロッパなどでの道徳観の変化には驚かされるばかりで、日本人はこれをど受け止めるべきか、少し先回りして考えておくべきだと思う。基本的には一歩遅れてついて行けばいいというのが、私の考え方だが、一方で、もしかすると、アメリカでの禁酒法の顛末のように、一世代すると、逆戻りすることも相当いろいろあるような気もする。

それはともかくとして、「NHK、朝日、文春が揃って杉田水脈の“人権蹂躙”」で取り上げたNHK、AERA電子版、週刊文春、神戸新聞の事件について、その後、判明したことや後日談があるので、それについて紹介しておきたい。

NHKの事件については、その後、ビデオがネットで公開されたりして、より詳細が分かったので、書き直して、9月新刊の『「反安倍」という病』(ワニブックス)でも紹介したので、そのエッセンスを紹介しておく。

NHKは83日のニュースウォッチ9で、「自分の考えている価値基準がすべて正しく、そこからはみ出た人は切り捨てるべきだと考えるのは傲慢で危険」「杉田氏の発言は、難病患者や障害のある人にもむけられたものだと受け止めている」とかいうなんとも飛躍した一般人の意見と称するものを紹介した。

そして、難病患者団体の川口由美子なる人物が「杉田議員の文章を読んで真っ先にひらめいたのは、(相模原の障害者殺人事件の)植松被告と根っこは同じだ」「日本ももしかしたら医療費とか介護費用を削減する方向にこの次はくる」というまったく妄想としかいいようがない誹謗中傷意見を話すのをそのまま流した。

さらに、キャスターが「浅はかともいえる言葉に、反発や嫌悪感をおぼえた方は少なくない」「人、一人一人の価値を数字ではかるような考え方、受け入れることは出来ない」とまで言い切った。

これを受けて、杉田氏の家族に危害を加えるというような脅迫までされるような事態になっている。

しかし、杉田氏の記事がどうして、上記のような誹謗にさらされるか、正常な感覚なら理解できるものでない。とくに、大量殺人事件の犯人と結びつけるような暴言を紹介することは、生放送でもないのだからありえない判断でNHKによるテロの教唆に近いものだ。多くの人が放送を聞いてNHKの歪曲報道に背筋が寒くなったと感じ、直後から強い非難の言葉がネット上にあふれた。

週刊文春による『育児丸投げ』の指摘については、正確な状況は以下の通りである。

杉田代議士は、神戸市に住んで西宮市役所に勤めながら子育てをしていたが、伊丹方面の選挙区から出馬することになり、配偶者も海外勤務になったので、娘さんの私立学校にも近い自分の実家に住ませて。そこから学校に通わせることにした。それをもって育児放棄で実父母に丸投げというのは、非常識であろう。

また、国連欧州本部での慰安婦問題についての議論に出席するためにジュネーブを訪問した杉田代議士に対してサングラスをかけて会議に出たといった内容の記事を載せたが、会議参加者からは、会議中にサングラスをかけていた事実はないという報告があるから事実誤認だろう。それに、ヨーロッパで夏にサングラスをかけることはなにもおかしなことでない。 

それにしても、民放のワイドショーもひどい。犯罪行為だとか、明らかに社会的に許されない行為をしたわけでもなく、やや誤解を招く点はあるものの、賛否について議論が分かれるような意見表明をしたことで、犯罪人扱いをするのは危険だと思う。いずれ後悔するのではないか。 

それから、アゴラの記事を見た精神科医の香山リカ氏が『窮地に追い込まれたとき、人が最後にすがれるもの、それが誰もが生まれながらに与えられてる権利、「人権」です。これで人権の大切さを少しはおわかりいただけましたでしょうか』とツイートしていた。

偽リベラルだけでなく保守派も人権という視点をツールとして反対派からの攻撃に対抗したらいいのにという心温まるアドバイスだという意味で評価しておこう。保守派はもっと人権問題を自分の土俵に引き寄せるべきだと思う。

『反安倍』という病 - 拝啓、アベノセイダーズの皆様 -
八幡 和郎
ワニブックス
2018-09-07

 

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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