防衛予算拡大で自衛隊の“弱体化”を図る安倍政権①

地上イージス2基取得 防衛費、5兆2986億円要求 過去最大更新(東京新聞)

防衛省は31日、総額5兆2986億円に上る2019年度予算の概算要求を決定した。概算時で過去最大を五年連続で更新し、18年度当初予算の5兆1911億円からは2.1%増。朝鮮半島の緊張が緩和する中でも、弾道ミサイル防衛の関連経費として18年度当初予算の3倍以上となる4千244億円を盛り込んだ。米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を新たに取得するため大幅増となった。

いつも申し上げていることですが、来年度予算だけ見ていて議論するのは間抜けな話です。

大震災以降、本来は予算成立時に予期しなかった支出を手当するものである、当年度の補正予算で、来年度の概算要求で落とされた装備を買うことが恒常化しています。

自衛隊観閲式に臨む安倍首相(官邸サイトより:編集部)

1000億とか2000億円のそのような補正予算による買い物は全体みれば少ないようもみえますが、自衛隊の買い物予算が概ね8000億円、ですから結構ごつい割合で増えます。

これを無視して議論するのは間抜けなことですが、なぜかマスメディアは指摘をしません。
普通の読者は来年度予算だけでお買い物をすると勘違いするでしょうが、これはマスメディアのミスリードです。

さて、来年度予算ですが、まともに調査も比較検討もされなかったイージス・アショアが例によって「官邸の最高レベル」(恐らくはNSCの入れ知恵)で入っております。

これはAAV7、オスプレイ、グローバルホークなども同じですが、ロクに有用性や自衛隊お得意の「我が国固有の環境に適合」しているかどうかも検討されず、巨額の費用をかけてFMSで導入されます。

そしてこれらによって、自衛隊は本来必要な予算や人員を奪われて、弱体化しています。
アメリカ様の阿るために貢ぐために自衛隊を弱体化し、国の借金を増やして国家を弱体化させています。

このような政権を自称国士様たちが熱烈応援しているのは喜劇であり、また悲劇でもあります。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。