矢部万紀子さん著「朝ドラには働く女子の本音が詰まってる」読む。
さすが松本人志「遺書」「松本」を当てた矢部さん。おもしろい。
(ぼくもこの本の途中で登場するんですがね。)
ちりとてちん、ゲゲゲの女房、ごちそうさん、カーネーション、花子とアン、あさが来た、まれ、べっぴんさん、あまちゃん、とと姉ちゃん、ひよっこ。
この10年の朝ドラを縦横に斬る。
忙しいのに、よく見てたなぁ矢部さん。
カーネーション、あまちゃん、ひよっこ。
矢部さんはこの3作だけダブルで項を設けて論評。
近年、いや恐らく歴代の中でも出色のトップ3です。
という朝ドラ趣味がぼくと一致。
(梅ちゃん先生や純と愛のように全く登場しないチョイスにもにんまり。)
ぼくが途中で観るのを断念した作品も、
花子とアン「イラッとする」
まれ「なめてんのか、おい」
べっぴんさん「うっすいドラマ」
と柔らかく温かくdisってるのは、処理がうまいです。
カーネーション考。
主人公・糸子が玉音放送を聞いた後、「さ、お昼にしよけ」とだけ切り替える。
ぼくも名場面だと思います。
女が堂々とする、女のドラマでした。
もう6年も前ですか。
カーネーションが終わるのを惜しみ、ぼくは初めてドラマについてブログを書きました。
カーネーション・ラブでした。
あまちゃんについてもちょっとメモしたことがあります。5年前です。
「半沢直樹vsあまちゃん」
そして、ひよっこ。
「勝ちにいかない人生」「普通は、とても美しい」。
矢部さんの評は、ずんずん堀井憲一郎先輩の見方とも一致します。
この世界観は、成長と停滞を経て、改めて日本がこれから向かう先ではないか。
ぼくは近頃そう考えています。
ひよっこを惜しんでぼくもブログを書きました。
ドラマについて書くのはカーネーション以来でした。
矢部さんが持ち上げる3作では、男の存在は薄いのですが、大切です。
カーネーションの、へたれで戦死する勘助。
あまちゃんの、ミズタク。
ひよっこの、インパールとビートルズの宗男。
忘れがたい記憶を残す演技でした。そこに光を当てるのもさすが。
さーて。
「半分、青い」を矢部さんが持ち上げるかぶっ叩くか。
楽しみに待っております。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年9月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。