故・翁長雄志前知事の米軍基地や安保体制についての姿勢は、「自衛隊も安保体制も支持する。しかし、沖縄の基地負担は過重である。また、辺野古移転は県民を分断する。だから、日米安保を基調とする現在の防衛政策を守るためにも辺野古移転はすべきでない」というものだった。
この議論のうち、辺野古移転については、議論を一からするならともかく、今となっては、それ以外の選択を実現するには時間がかかる。また、現実に中国の脅威が増しているときに、防衛体制を後退させるのかという問題があり、気持ちは分かるが、結局は普天間の危険な基地をそのままにするだけだというのが、安倍政権の立場ということになろう。
翁長氏の気持ちは分かるが、国外にもっていってグアムなどに後退させては防衛力が落ちるし、国内でどこかといっても、説得に時間がかかる。結局、それは危険な普天間の現状の固定化になってしまうと思うが、翁長氏は沖縄の反発がこれだけ強くなれば、かえって強行すれば安保が危なくなるよといっていたのである。
それでは、玉城デニー氏はどうかといえば、もともと、鳩山政権のときには、鳩山首相の「県外」撤回に理解を示していたはずだし、辺野古反対について、そんな強硬派でもなかったはずだ。
また、防衛協会の会員(先月、退会とされる)で、米軍撤退のあとは自衛隊を強化して守るというような立場で、防衛体制の充実に対して否定的なわけでなかった。翁長氏もそれは、同様だったが、さらに強い自衛隊重視だったので、軍事基地そのものに否定てきでなかった。
ところが、最近の「基地を作ったら平和にならない」「平和的な話し合いをしているときに基地を作るのは失礼」といったような発言はどうしたことだろうか。まして、辺野古は移転であって、新たな基地を創って強化するのでないのだから支離滅裂だ。
もしかすると、いま言っていることは玉城氏の本心出ないのかもしれない。共産党頼みの選挙をして、完全に取り込まれてしまったようにも見えるが、いったん、そういうことを言ってしまうと抜け出せないのではないか。
翁長氏の遺族の方も、翁長氏がその政治家人生の大半をかけて自民党の保守強硬派として主張してきたことからどんどん離れていいのだろうか。将来の政治的立場としていまさら共産党などから離れることはできないということなのだろうか。
さらに、鳩山由紀夫氏が副知事になってもいいとか、選挙資金面でも貢献しても良いようなことをほのめかしたのも気がかりだ。また、小沢一郎氏は日本をどうするかなどより政治的思惑で反安倍だけ考えてそうだ。
共産党、鳩山由紀夫、小沢一郎のお世話になり過ぎた玉城デニーと翁長家の人々は、本来、信じていたまっとうな日本と沖縄の平和を現実的に考える立場にもどれるのだろうか。それができなければ、辺野古の工事は関係なく進むが、無駄に遅れ、本当の沖縄の人々の立場に立った政治のために失われた4年間が待っているだけだ。