こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
本日は党メンバーの一部で、精神障害者の雇用支援に取り組む就労継続支援A型事業所「アスタネ」さんを訪問しました。
農業生産事業アスタネ:障がいのある方が働ける場所を新たに作り出す
http://www.asutane.jp/
ややもすると「難しい」と思われがちな精神障害者の雇用に積極的に取り組み、就労人数や状態は極めて良好な状態になり、事業自体も3年目には黒字化。
「(精神)障害者雇用のモデルケースになるのではないか?」
と注目を集めており、官公庁や議員による視察も行われている事業所です。
昨今、行政による障害者雇用率の水増しや、法定雇用率の未達成な大きな問題になっています。
準行政ともいうべき東京都の外郭団体でも障害者雇用率の未達成、そして雇用が「身体障害者」に偏っているという課題については、私もこれまで議会で繰り返し指摘をしてきました。
過去記事:
公益性の高い都の外郭団体から、種別によらない障害者雇用の促進を!
https://otokitashun.com/blog/daily/16476/
どうも都担当者や関係者と意見交換をしていると、「精神障害者の雇用は非常に難しい」という根強い意識があるように感じます。
その理由の一つが「安定性」。身体障害者の状態は基本的に変わることがないけれど、精神障害者は日によっても、中長期的にも状態が変化する…というイメージがあります。
これが「精神障害者=不安定、就労が続かない」という先入観を生み出す原因の一つとなっているようです。
障害者雇用の社会的意義が理解されておらず、ただ「安定して雇用率を満たす」ことを考えると、なおさら雇用の対象が身体障害者に偏りがちです。
しかし「アスタネ」施設長のお話では、精神障害者はこれまで仕事のキャリアを重ねてきた方も多く、それぞれの強みを持っています。経理や広報、営業etc..
また、うつ病などの精神障害を抱えることになった職場環境に理由があった可能性が高いわけですから、その理由をしっかりと解消してあげれば、力を発揮できる方は非常に多いとのことでした。
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「アスタネ」では単に単純作業をするわけではなく、権限委譲をして創意工夫の余地を残し、利用者の方々が話し合ってアイディアを出しながら業務改善に努めているそうです。
生産管理のグラフ表をつくる、販促品を増やすなどの案はすべて運営者ではなく利用者から出てきたもので、これによって生産効率や売上が劇的に改善したとのこと。
「うちのような小さなしいたけ栽培所ですらこれだけの創造的な仕事があるのだから、大きな企業や行政でそれができないという理由がわからない」
と施設長が述べていたことが、大変印象的でした。
また、ここにたどり着いた精神障害者の方々の中には、「これまで障害者枠の採用面接では、志望動機ややりたいことを聞かれたことがなかった」と言う人もいるそうです。
まさに、その従業員を単なる「(数字を達成するための)コマ」として見ていない企業が多いということを示す、悲しいエピソードの一つです。
その人を単なる「障害者」という記号として扱うのではなく、「どんな強みがあるのか」「本人はどんなことをやりたいのか」「その彼の特性・動機はどこに活かせるのか」に、雇用側がきちんと向き合えば、精神障害者の雇用環境は双方にとって劇的に改善される。
そんな明るい確信が持てる有意義な視察となりました。
議会での政策提言に活かしていきます。視察を受け入れていただいた「アスタネ」皆さま、関係者の方々、ありがとうございました!
同行した政策スタッフによるレポートもありますので、合わせてこちらもお読みいただければ幸いです。
就活で志望理由が聞かれない?!しいたけから考える精神障がい者雇用のあり方
https://note.mu/mikihide/n/n634b349d03cf?fbclid=IwAR1EKf85iCF1AP6SZDJI0QIicIZPK2WEPXzEmzL_nJ3ClVJwo9mXKO_m-3c
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年10月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。