ビールの「消費税率」74%は外税表示に

2018年10月30日 00:00

来年の消費税引き上げで「複数税率」が導入される見通しだが、これは「軽減税率」だけではない。酒税・タバコ税・揮発油税などの個別消費税は今すでに複数税率であり、今回の税法改正で「重課税」になる。たとえばビールの税率は、アサヒの「スーパードライ」の場合、本体価格132円に酒税77円かかり、その合計価格209円に8%の消費税が課税されている。これが消費税10%になると230円、本体価格に対して74%課税される。

このような個別消費税(物品税)は、かつては広範にあった。その税率も、貴金属は30%、普通自動車は23%、冷蔵庫は20%などまちまちだったが、1989年に消費税の導入によって廃止された。このとき大蔵省が消費税のメリットとして宣伝したのが、税務当局の裁量で税率が変わる物品税より、一律の消費税のほうが簡素で透明だということだった。

これはその通りなので、本来は酒税や揮発油税も消費税に含めるべきだったが、消費税率を一律にするためには例外としてやむをえない面もあった。しかし消費税が複数税率になると、そのメリットは失われ、酒税などだけが「内税」で、その税込み価格に消費税が課税される二重課税の不公平性が残る。

どうせ複数税率にするなら、酒税も揮発油税もタバコ税も消費税と合算し、外税表示にすべきだ。これによってビールの税率74%に対して、ウイスキーは30%、日本酒は24%と税率の差が歴然とする。揮発油税(+地方揮発油税+石油税)は1リットル56円だから、本体価格100円とすると原価は156円。これに消費税10%がかかると、ガソリンの税率は71%になる。

負の外部性の大きいタバコに重課税する理由はわかるが、本人以外が迷惑しないアルコールに重課税する合理的な理由はあるのか。なぜビールと蒸留酒で税率が違うのか。ガソリン税の根拠は「地球温暖化」ということになっているが、なぜ同じく温室効果ガスを出す灯油の税率は1リットル2円なのか。

税金についてこんな質問をするのは野暮だが、軽減税率は非裁量的な一律課税という消費税の最大のメリットをなくしてしまった。長期的には、消費税率は10%ではすまない。今後の税率を考える上でも、すべての個別消費税を外税で商品に表示し、それが妥当なのかどうか納税者に判断させてはどうだろうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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