福島県・復興庁には住宅問題の実態把握調査を求めたい

10月24日、東電福島第一原発事故の被災者、自主避難者の問題に関する政府と福島県との第3回交渉を行いました。(避難の協同センターおよび原発事故子ども被災者支援法議連主催)

生活再建の基盤となる住宅問題をどのように解決するのか、安心して住み続けることができる住まいをどのように確保するかが焦点です。
福島県は来年の3月末をもって経済的な支援、すなわち国家公務員住宅に入居している方の退去、民間賃貸住宅に対する家賃補助の打ち切りを宣言していますが、被災者の多くはふるさとに残した我が家には戻ることができず、替わりとなる住まいも見つけることができない、安定した仕事にも就けず経済的にもきわめて厳しいとの訴えが多く上がってきています。

こうした声は政府が実施している全国26箇所の相談拠点にも上がってきており、福島県も復興庁も分かっているはずなのに具体的な解決策を示そうとしません。

福島県・復興庁にはこうした状況についてまず実態把握のための調査をしてもらいたいとの要望を何度もあげていますが、実施を拒否し、現在の相談対応で十分で個別に相談にのり関係機関を紹介するなど対応していると繰り返すのみです。

民間賃貸住宅の家賃補助については2,000世帯、対象は月額21.4万円以下の収入世帯であり、生活が楽でない避難者に「2年経ったんだから自立してください」とはとても言えません。2万円の家賃補助を打ち切る事で生活が本当にできなくなる、賃貸の更新料が払えないなどの切実な声を受け止めるべきです。

国家公務員住宅に入居している130世帯へは1月末までに退去契約書を締結せよと迫っています。現段階で4月以降、退去後の新しい住まいが決まっている避難者は1~2割に留まっていると福島県が報告するも、退去できない場合は、毎月2倍の家賃(損害賠償)を請求しようとしています。

このような状態のままでは来年の3月末を迎えることができないことを何度も訴え、以下のような要求を出して会をまとめました。

①避難者の実態調査をおこなうことを改めて要求、もし実態調査を不要とするのであれば実態調査に変わる他の調査結果等を提示して不要の理由を明確にすること。

②国交省からは原発事故による自宅の滅失についても罹災証明があれば公営住宅の特定入居を認めるとの発言があった。具体的な手順、条件等知らせて特定入居の道を開くこと。

③国家公務員住宅の入居延長可能性の打診を福島県から財務省におこない財務省の回答を受けること(財務省は福島県からの打診があれば丁寧に対応すると発言)。

④国家公務員住宅から民間賃貸への転居の場合に出ている転居費用10万円の補助について周知と公営住宅転居者への適用拡大。

⑤復興庁は、福島県との協議内容について議事録を公開すること、3月をどのように迎えるかアクションリストを具体的に提示すること。

以上を11月7日までに回答するよう要求しました。

特に国政の立場からは復興庁の対応が許せません。福島県と寄り添って対応などと同じフレーズを繰り返すのみで、避難者の実態に関する基本的な数字すら頭に入っておらず、まったくやる気がないとしか言いようがありません。特に⑤のアクションリストを厳しくチェックしてゆきます。

相談支援よりも経済支援、あくまでも原発事故の被災者であることを大前提に国の責任で真の生活再建を実現する。7年以上が経過しても被災者の厳しい実態は変わらず、ますます追い込まれています。絶対に風化させないよう、被災者支援の取り組みを継続して参ります。

山崎 誠 立憲民主党衆議院議員 神奈川県第5区(戸塚区・泉区・瀬谷区)総支部長、立憲民主党政策調査会副会長、エネルギー調査会事務局長
環境・エネルギー・地方創生・社会保障政策・教育政策を中心に活動を展開。 元横浜市会議員、日揮株式会社、株式会社熊谷組勤務。山崎誠政策研究所代表、森びとプロジェクト委員会顧問、よりそいサポートネットワーク事務局長等