大統領選挙に続いて中間選挙も的中させて頂きました(特別寄稿)

2018年11月08日 11:31

時が経つのは早いものでアゴラに2016年大統領選挙の分析を寄稿させて頂いてから2年以上の月日が経ったことになる。同大統領選挙後には「トランプ当選を論理的に予測した!」ということで、多数のメディアから米国政治の分析・解説のお仕事を頂くようになった。

今回も投票日の1週間前にあたる10月30日にBS日経ニュース10で予測の数字をお披露目する機会があった。同番組では以前からも今回はオーソドックスに上院共和党・下院民主党で予測していたため、それを具体的に数字にしてメディア上で公表する形となった。

実は今回は欲張ってピッタリ賞を目指してみたのだが、現在のところ、上院は誤差1議席、下院は数議席程度となりそうだ。とりあえず、方向性と大まかな数字は当たったので中間選挙の予測が当たったと言っても許してほしい。

筆者と同じようにトランプ大統領当選を予測した有識者・ジャーナリストが共和党の上下両院過半数維持を予測していたと耳にするが、当て勘と逆張りだけで二度も当てるのは流石に難しいと思う。しっかりと選挙に関する基礎的な数字を見た上で分析する勉強をやり直した方がいいだろう。

トランプ大統領はネジレ議会で支持率が回復していく

さて、上下両院が共和党・民主党に捻じれたわけであるが、実はこれは米国では大きな問題にならないだろう。ネジレ議会とは「党議拘束」がある日本のような議会運営の国では問題であるが、連邦議員が自由意思に基づいて投票する米国では日本とは話が違うのだ。

下院は最終的な議席が確定していないが、多数を占める民主党の中にはBlue Dog Coalitionという中道右派の会派が存在し、近年減少傾向にあるものの約20名の所属議員らは無事に再選を決めている。トランプ大統領と共和党はイザとなれば同会派所属議員との間で政治的な交渉を行うことでネジレ状態を克服することが出来るだろう。その過程でトランプ大統領が超党派の行動をとる姿を見せることで支持率も緩やかに回復する可能性すらある。

また、上院においても過半数割れまでに数議席余裕ができたことで、リベラルな思想を持ち共和党が進める重要法案に反対・留保しがちな2名の共和党議員(リサ・マーカワスキー、スーザン・コリンズ)の意向を無視して物事を進めるだけの議席数の上積みが確保できている。上院運営は今までよりも遥かに楽なものになるだろう。

中間選挙の「勝利」を強調するトランプ氏のFacebook投稿(公式FBより:編集部)

したがって、トランプ政権の議会運営は見た目はプロレス的に派手な闘争を与野党で行うかもしれないが、実際にはトランプと議会の共和党・民主党指導部の政治的なショーが行われているに過ぎないことになるだろう。

隠れトランプ仮説が崩壊、ラストベルトの再奪取が共和党の課題に

2020年の大統領選挙を見据えると、フロリダ州の上院選・知事選を制したことは共和党にとって不幸中の幸いであるが、彼らはラストベルトなどの接戦州で失った党勢を取り戻す必要がある。

2016年に話題となった隠れトランプ決定論は実は米国世論調査協会が公式に棄却した仮説であり、もはや米国における選挙の定説でもなんでもなく俗論でしかない。今回の中間選挙では、民主党候補者がヒラリーという異常に人気がない人物でなければ共和党がラストベルトで勝利することが難しいことを露呈する結果となった。

今後、トランプ大統領と共和党主流派が同地域に向けて、インフラ投資などを集中的に投下することによって一気に支持を高めようとすることは既定路線であるが、果たしてそれだけでラストベルトをおさえることはできるだろうか。

民主色が強い同地域でトランプが再び勝利するためには、トランプ大統領=超党派の大統領、としてのイメージの演出は欠かすことはできない。そのために下院過半数割れは、中長期にはトランプに有利に働くことになるだろう。トランプ大統領の新たな姿を再び我々は目の当たりにすることになるのかもしれない。

日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く

渡瀬 裕哉
産学社
2018-10-10
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渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員

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