原油価格下落はまだ続く可能性、株式市場などへの影響も

原油価格のベンチマーク的な存在となっているニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、23日に比4.21ドル安の1バレル50.42ドルと大きく下げた。

もし50ドルを割り込むとなれば、2017年10月以来となるが、注意すべきはその下落ピッチとなる。WTI先物は10月4日に77ドル近くまで上昇したところが直近のピークとなり、調整局面を向かえた。10月17日に節目とみられた70ドルを割ったあたりから、下落ピッチを早め、11月23日には50ドル近くまで下落したのである。

チャートの月足ベースでみると10月と11月のWTI先物の下落は、2014年に100ドルを超えていたWTIが急落し、2015年1月に50ドルを割り込んだ相場の当初の動きにも似ている。このときの調整は2016年1月あたりまで続き、WTI先物は30ドルを割り込んでいる。

2016年1月といえば、日銀がマイナス金利政策を決定した月でもある。中国など新興国の景気減速観測などによって原油需要が後退し、原油価格の下落そのものが産油国経済にも影響を与えるとして、日米欧の株式市場も大きく下落した。日本の景気への影響も懸念されて、日銀は動かざるを得なくなり、その結果取り入れたのがマイナス金利政策となったのである。

今回の原油価格の下落については、何かしら明確な材料が出ていたわけではない。原油の減産などで原油価格を引き上げようとしたサウジアラビアなどが、米国がイラン産原油を対象にした経済制裁を復活させることなどにより、その分、増産に踏み切るとされていたが、そのような調整がうまく利かなくなっているようにも思われる。

今回の原油価格下落の背景は、世界経済そのものの減速が影響しているのではと見ざるを得ない。景気そのものが拡大基調となっていれば、減産などで価格調整は可能となっても、需要そのものが後退しているとなれば、価格調整は難しくなる。それが今回の原油価格の大きな下げに繋がってるのではなかろうか。

あくまで月足のチャートからみたものではあるが、11月の原油先物価格の下落幅が大きくなることはたぶん避けられない。しかし、この月足チャートを見る限り、これで止まるようには思えない。30ドルを割れることもありうるか。そうなると2016年1月から2月にかけてのような株式市場の調整が再度入る懸念もありうる。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。