フランス・マクロン政権の増税に反対する市民のデモが激化し、パリでは暴動に発展して死傷者も出る惨状となっています。
翻ってわが日本国では4年前の消費税引き上げにも、来年予定されている2%追加引き上げに対しても、今のところ目立ったデモらしきアクションは起こされていません。
この違いを見て「やはり民主主義の故郷、フランスは凄い、個人がしっかり権利を主張する」「日本は一度も自分達で革命を起こしてないから民主主義が根付いていない」みたいなことをおっしゃられている方がちらほら散見されます。
本当に日本人はお上に対して腰が引けてる国民性なんでしょうか。権利というものに無頓着なんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。
サラリーマンは増税ストップしても天引きが増えるだけだと感づいている
都市のマジョリティである雇用労働者(以下サラリーマン)は重い社会保険料の負担に苦しんでいます。消費税が遅々として上がらない一方、厚生労働省が保険料率をいじるだけでいくらでも“増税”できる保険料は年々上がり続け、現在では事業主負担分も含めた実質で45%に上ります。
【参考リンク】2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も
実際にはもっとですね。ほら、参院選前に教育無償化でバラマキしたときに「財界で社会保険料を3000億円ほど負担してほしい」「しょうがないですね、わかりました」って言うやり取りが政府と経団連との間でありましたが、あのほとんどは今年の昇給削って捻出されてるはずですから。
【参考リンク】教育無償化・負担減「企業は3000億円拠出を」 首相が要請
この事実に多くのサラリーマンは薄々気づき始めていて、それが都市で大規模なデモが発生しない最大の理由だと筆者はみています。増税に反対したって自分たちの首絞めるようなもんですから。
そりゃ知能の低い人の中には「あれアベノミクス成功って言われてんのになんで僕の賃金上がらないのかな?まあとりあえず消費税引き上げ反対!」っていうバカもいるでしょうけど、少なくとも連合の中の人たちは「サラリーマンの保険料だけ上げるのはおかしい。消費税として社会全体で負担すべきだ」って明言してますから。少なくともフランスの労組みたく増税に反対してデモを組織するなんてことはありませんね。
むろんサラリーマンじゃない人は増税に反対する意義はあるでしょう。でもフリーターは忙しいし横のつながりは薄いし、ニートは部屋から出てこないですから。
あ、でも高齢者は天引きもないし時間もあるからデモし放題ですね。日本のデモが老人ばかりなのは、そういう側面もあるような気がします。
以下、
自分で自分のクビを締めるフランス人
連合は社会保険料引き上げ反対デモを組織せよ
Q:「人事部から社労士として独立するのはアリ?」
→A:「太客を捕まえてからにすべきです」
Q:「技術職から営業職への異動はアリ?」
→A:「労働市場全体を考えるならアリですが……」
雇用ニュースの深層
順大「女性は優秀だから落とさないと不公平だと思った」
筆者自身も昔はまあそんなものかなとスルーしていましたが、さすがに大学入試で同じことやってるの見ると終身雇用の異常性がよくわかりますね。
本気を出したNTTデータ
同社がこのコースを一部の研究職以外にも拡大するかどうかが注目点でしょう。
Q&Aも受付中、登録は以下から。
・夜間飛行(金曜配信予定)
編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2018年12月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。