昼寝もマッサージも会社でできる!進化する福利厚生制度

2018年12月14日 06:01

師走も残り半月。年内に終えるべき仕事に奔走しながらも、夜には忘年会の予定がぎっしりで、疲れが溜まっている人も少なくないのではないでしょうか。休息やリフレッシュはオフの日にするものとはいえ、忙しいとなかなか十分に休む時間が取れないのも現実かもしれません。

しかし、なかには会社で休息のチャンスを得られる企業もあるのです。

写真ACより

ワーキングパーソンは寝不足で当然?

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、睡眠で充分に休養が取れていないと感じる人は20.2%。働き盛りの世代で特に多く、40代では30.9%と、60代(15%)の2倍に上ります。

睡眠時間をみても、現役世代は睡眠不足が目立ちます。全年齢でみると6時間以上7時間未満の人が多いのに対して、40代では男女ともに5時間以上6時間未満が約4割と最も多い結果です。5時間未満の人も約1割おり、半数近くの人が6時間以上寝られていないわけです。

寝不足の傾向は年代が高いほど顕著にみられるものの、50代では7時間以上寝ている人も4~5割おり、60代以降ではより長く寝る人が目立ちます。日本の現役世代に、寝不足はつきものであることがわかります。

睡眠で生産性アップ

しかし、働く人ほど日中の生産性を高めるためには睡眠が重要です。寝不足は集中力・注意力・作業効率の低下を招き、ミスや事故のもとにもつながります。抑うつのリスクにもなります。居眠り運転や睡眠時無呼吸症候群などと合わせて、これらの睡眠に関わる問題によって、年間数兆円の経済・社会資本の損失が発生しているとも試算されています。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット 「健やかな眠りの意義」

こうしたリスクを防ぎ、生産性を高めるために仮眠室を設置する企業があります。三菱地所は、社内に仮眠室を設置。ヘルスケアベンチャーのニューロスペースと共同で実証実験を行い、仮眠によって社員の集中力が高まる効果も確認しました。

実験では、毎日30分間の仮眠を2週間実施。そしてパソコンのタイピングをする際の集中度をメガネ型のウェアラブル端末「JINS MEME」で計測したところ、仮眠を取らない2週間と比べて集中度が高い結果が出たといいます。実験に参加した社員も、作業の生産性が向上した実感を得たようです。

出典:三菱地所との「仮眠室を活用した仮眠効果検証実験」結果報告 仮眠を活用することで日中の集中力向上と眠気低減を計測データで確認(ニューロスペース:PR TIMES)

社内にマッサージ室

疲れを取り、すっきりした気分で仕事に臨むために、マッサージに注目している企業もあります。

AIGグループの特例子会社であるAIGハーモニーは、グループ社員のリフレッシュを目的としたマッサージを実施。社内の管理システムから予約すると、国家資格を有する社員による40分間の施術を受けることができます。

ゲームアプリでおなじみのコロプラは、マッサージルーム「Kuma SPA」を設置。通常のマッサージのほか、スポーツマッサージ、フェイシャルマッサージも提供しています。マッサージの前後には健康チェックや相談にも対応しています。

出典:マッサージが福利厚生!? 「Kuma SPA」でリフレッシュ(コロプラ Be-ars)

LINEも、社員向けのマッサージルームを設置。按摩マッサージ指圧師・鍼師・灸師の資格を持つスタッフが40分500円でマッサージを行っています。

出典:福利厚生の一つであるマッサージルームを紹介します(LINE HR BLOG)

画像はイメージです(写真AC:編集部)

これらの企業がマッサージルームを設置しているのは、デスクワークや外出の多い社員の肩こりや腰痛の対策がおもな目的です。その効果は、科学的にも複数の研究で検証されています。

また、マッサージにはメンタルヘルスを改善する効果も期待されています。厚生労働省の『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』によると、「2010年に行われた臨床試験17試験のメタ分析では、マッサージ療法は抑うつを低減する可能性があると結論」づけられるなど、うつやリラックスの効果も裏付けられようとしています。

厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、仕事で強いストレスになっていると感じることがある人の割合は58.3%。過去の推移を見ても、おおむね6割前後の人がストレスを抱えながら仕事をしています。この状況を受けて2015年12月の労働安全衛生法の改正によってストレスチェック制度が義務化されて以来、多くの企業で社員のメンタルヘルス対策が進んでいます。

一般的には、アンケートによる全従業員のストレスチェック、ストレスが高い従業員への医師の面接、メンタルクリニックの紹介やあっせんがおもな取り組みですが、不調をきたす前の段階でストレスを軽減できる環境が整っているのは、労務管理面でのリスク軽減にも役立ちそうです。今後はその面からもマッサージルームを設置する企業が増えていくかもしれません。

出典:『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』
健康目的でのマッサージ療法:知っておくべきこと
ストレスチェック制度について

出典:厚生労働省「労働安全衛生調査」平成29年

マッサージルームが雇用拡大やCSRにも寄与

さらに、企業のマッサージルームには、施術を受ける従業員の健康増進を通して生産性アップを目指す健康経営の視点だけでなく、雇用やCSRなどすでに常識となっている経営戦略の一端を担う側面もあるようです。

先述のAIGハーモニーは、障がい者雇用の促進を目的としてAIGグループが設立した特例子会社で、マッサージは視覚障がいを持つスタッフが担当しているのも特徴です。LINEは、施術のために社員が支払った利用料を被災地や盲導犬協会、視覚障がい者の学校などに寄付しているといいます。

働き方改革やワークライフバランスが盛んになるなかで、企業はさまざまな形で従業員が働きやすい環境を作ろうとしています。それは単に就業時間を短縮し、オフの時間を確保させることにとどまらず、オンの時間や空間にオフの場を持ち込むという逆説的な発想にも進化してきています。

年末年始の休みを心待ちにせずとも、働きながら休息をとれる職場が増えれば、仕事はもっと楽しくなるような気がします。

加藤 梨里(かとう りり)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営アドバイザー
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員として健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。マネーステップオフィス公式サイト


この記事は、AIGとアゴラ編集部によるコラボ企画『転ばぬ先のチエ』の編集記事です。

『転ばぬ先のチエ』は、国内外の経済・金融問題をとりあげながら、個人の日常生活からビジネスシーンにおける「リスク」を考える上で、有益な情報や視点を提供すべく、中立的な立場で専門家の発信を行います。編集責任はアゴラ編集部が担い、必要に応じてAIGから専門的知見や情報提供を受けて制作しています。

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