レーダー照射:韓国はもう悪あがきをやめよ

2019年01月03日 06:00

時事通信の報道によると、

韓国国防省は2日声明を出し、「(海上自衛隊の哨戒機が)人道的な救助活動中だったわが国の艦艇に対し、威嚇的な低空飛行をした」として、わが国に謝罪を要求、、実務協議の開催を呼び掛けた。この声明の中で韓国国防省は、「日本側が公開した動画に見られるように、友好国の艦艇が公海上で遭難漁船を救助している状況で、日本の哨戒機が威嚇的な低空飛行をしたこと自体が非常に危険な行為だ」と指摘。さらに、「韓日国防当局間で事実確認のため、実務協議を継続するという合意にもかかわらず、日本は動画を公開し、高官までテレビのインタビューで一方的な主張を繰り返している」と批判し、「深い遺憾の意」を表明した。

とのことである。

これを見て、筆者は30日付の筆者の記事「韓国レーダー照射の動画公開で新たに見えた重大問題」で指摘した内容が、ほぼ疑いようのない事実であると確信した。もはや、どう見てもこの韓国国防省の対応は悪あがき以外の何ものでもないと感じる。韓国政府は、事態の重大性を欺瞞しようとして国防省に尻ぬぐいさせるのをやめた方が良い。このような声明が、「防衛省に動画を公表されたことがどれほど手痛いものであったか」という内情をさらけ出してしまっている、ということに気が付かないのだろうか。もはや国家として二流以下に成り果ててしまったという印象を受ける。

YouTube 防衛省動画チャンネルより:編集部

今回の火器管制レーダー照射事案で最初に日本政府が抗議した際、韓国国防省は、「日本のP1哨戒機を追跡する目的だったという事実はない」として、日本の哨戒機が付近にいたこと自体認知していないとしていた。

その後、韓国海軍が「救難活動のために 韓国海軍駆逐艦は火器管制レーダーを使用したが、日本の哨戒機を狙う意図はなかった」とコメントしたものの、今度は韓国政府が「火器管制レーダーを照射した事実はない」として、「事実だというなら証拠を示せ」と日本側にこれを要求した。

そして、今回の国防省による「威嚇的な低空飛行をした」とする謝罪要求である。この支離滅裂さは一体何なのであろう。それは、日米韓の協力路線に対する背信行為を隠ぺいしようとするがゆえの態度であるとしか思えない。

今回の事案で防衛省は、海上自衛隊のP1哨戒機が確実な証拠を記録したからこそこれを公表して抗議に踏み切ったのである。そして、今回の映像はその一部である。そんなことは、今回の一連の報道を見れば先進国の軍事関係者なら誰でも分かることである。さすがに韓国国防省も、これくらいのことは分かっているはずである。

それでもなおかつ証拠を要求するのは、「韓国軍が海上自衛隊の情報収集能力を知りたい」からか或いは、「秘密保全上これを公にすることはできないだろうとたかをくくっている」かのいずれかであろう。防衛省は、必要ならば確実な証拠を米軍を始めとする朝鮮戦争休戦協定の当事者である国連軍に示すこともできるということを教えるべきである。

そもそも、今回救難活動に携わっていたのは警備救難艦「サンボンギョ:5001」である。海上自衛隊の哨戒機が付近を飛行した際に、韓国駆逐艦「広開土大王(クァンゲト・デワン):971」がこれを脅威と感じたならば、このような事態に対応するためにこそ傍らに待機していたのではないのか。それこそが今回の火器管制レーダーの照射につながったのであろう。

海上自衛隊の哨戒機が付近を飛行して脅威と感じたならば、なぜ緊急周波数で哨戒機に対してその旨を伝達しようとしなかったのか。少なくとも海上自衛隊の哨戒機の呼びかけには応じるべきであったろう。救難活動に携わっていたとする両艦が緊急周波数をモニターしていなかったなどと、本来ならば口が裂けても言えないことである。

まさか両艦とも無線機の受信状態が悪かったというのか。緊急周波数は航空自衛隊のレーダーサイトでもモニターしているので当時の電波環境の証拠はいくらでも出てくる。もし本当にモニターしていなかったのならば、それこそこれが「もぐりの救難活動」であるという証左である。つまり、北朝鮮の漁船と別の連絡手段を構築しているということになる。

結局のところ、今回の事案において韓国海軍の駆逐艦は、公にされたくない任務についていたことから、当該海域を監視する海上自衛隊の哨戒機に敵意を抱いてこのような事態を招いたということなのであろう。もうわが国は本件において韓国と直接協議をしても無駄なように思う。

これからは、米国を始めとする国際社会に対して、かかる国際常識をわきまえぬ国の海軍艦艇が外洋で活動することの危険性を訴えることに注力すべきではないだろうか。

鈴木 衛士(すずき えいじ)
1960年京都府京都市生まれ。83年に大学を卒業後、陸上自衛隊に2等陸士として入隊する。2年後に離隊するも85年に幹部候補生として航空自衛隊に再入隊。3等空尉に任官後は約30年にわたり情報幹部として航空自衛隊の各部隊や防衛省航空幕僚監部、防衛省情報本部などで勤務。防衛のみならず大規模災害や国際平和協力活動等に関わる情報の収集や分析にあたる。北朝鮮の弾道ミサイル発射事案や東日本大震災、自衛隊のイラク派遣など数々の重大事案において第一線で活躍。2015年に空将補で退官。著書に『北朝鮮は「悪」じゃない』(幻冬舎ルネッサンス)。

北朝鮮は「悪」じゃない (幻冬舎ルネッサンス新書)
鈴木 衛士
幻冬舎
2017-12-25
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