体罰はダメだが、勧善懲悪では見えない今の学校現場の闇

2019年01月21日 06:00

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

現役教員のストレートパンチ

さて、今週は都立高校の現場に衝撃走るニュースが飛び込みました。

写真AC:編集部

朝日新聞は「都立高校の教員が体罰 生徒引きずる動画がネットで拡散」と報道しています。私はニュースになるよりも先にツイッターのタイムラインで見つけて何だろうと思っていました。そして、これは大騒ぎになるなと直感的に思ったのです。素直でない生徒側の態度に、正に「堪忍袋の緒が切れた」状態で、ストレートパンチが出てしまったのは揺るぎもない事実でこれは容認出来ません。本件については、学校も東京都教育委員会も重く受け止めており、有耶無耶にすることはありません。

少なくとも、私は都議会議員に当選以来、一番力を入れてきたのが教育政策です。したがって、都教委との議論も重ねてきましたし、色々な高校の現場も見てきています。

J-CASTニュースでは「「炎上させようぜ」 都立高「教師パンチ動画」殴打直前の会話」と言って記事が出ています。私は「体罰を是とする」立場ではありませんが、今回を事例に際して「教員を大切にする」政策を確実に実行していかないと学校が成立しなくなるのではないかと心配をしたところです。

素直に何でも聞き入れる生徒はいない

町田総合高校の一件をたまたまの事例と見てはいけないと認識しています。この問題の本質は何だという議論をしなくてはいけません。

今回を機に私はこれが学校現場の実態だという事を多くの方に知って貰いたいのです。当然、私は当該の教員・生徒間の関係がどんなものであったかは分かりません。拡散されている動画の前段階や背景について分かりきっているわけでもありません。

それ故に、一般論として書いていきますが、数十年前のように教師の言う事を全て無条件で聞き入れる生徒は激減しています。私が高校に通っていた約20年前でさえもその傾向はあったわけですから、スマホの普及に伴って情報が入りやすい社会になってるわけですが、さらにその傾向は進んでいます。

やりたい事をやっているだけだと権利を主張する生徒と、規律・風紀の乱れを阻止したい熱血教員の間ではそもそも育ってきた文化が違うので相容れづらい傾向にあると言えます。それでも、「体罰はよくない」と当然認識しているわけですから、普通であれば各教員がその溝を埋める努力をしていても、どこかでやはり我慢しながらストレスを溜め込んでいる場合も多々あるのです。ただでさえ、教員の仕事量が増えている現代では日々の教員達は大変なのです。

本物の教員を守りたい

それでも、教員達は縁あって、出会った一人一人の為に一生懸命考えて向き合っている方ばかりです。単純に、教員・生徒間のコミュニケーション不足が原因という事も沢山あると思います。様々な虚勢を張りたい歳頃の生徒達に一方的に自分の価値観を押し付けるような接し方では、ぶつかるのは当然です。親子でさえ喧嘩するわけですから、いくら毎日同じ場所で過ごしているからと言って、容易に以心伝心になるわけではありません。

何を言いたいのかというと、つまり一方的に我慢をし続け、手を出さないと耐えている教員の中には、その耐えるで「社会と生徒の板挟みのストレス」を感じている実態も分かって欲しいのです。ストレートパンチで人生を棒に降る可能性が高い教員の奥には、今の社会が抱える問題があります。

勧善懲悪の精神で生徒は弱い立場なんだという“世間の常識”から、一方を極端に悪者にして世論喚起をしていくワイドショーなどが作り上げるフワッとした民意の存在がここにあるのです。私が言いたいのは、社会や身近な大人達が頑張って、生徒達に教員と向き合う基本姿勢、教員に対するリスペクトする精神を徹底的に叩き込んでいかないと、根治治療は出来ないのではないかと考えます。

“ウザい”教員こそ大切に

そういうフォローをしていかないと、とても優秀でやる気のある教員ほど現実とのギャップに悩み苦しんでしまいます。こういう教員ほど、無責任に出来ないので、一旦指導に入ると、生徒とぶつかるわけです。方や、自分のノルマを終わらせる事だけで、生徒に無関心、自由に何でもやらせてしまう教員も存在するようです。現実的に「口うるさい」教員は「ウザい奴」でしょう。一方の「何も言わない」教員は「いい奴」という評価を生徒からされます。

でも、20年後にどちらの方が自分にとって良かったのかは分かりません。「あの時注意された事の大切さ」なんていうものは高校時代には分からないものです。今になって思えば、いい事を言われていたなと振り返る事もあります。そんな経験から、私自身は、良い教員という評価は未来が決めると信じています。こんな議論を文教委員会でもしてきました。

小池知事は本質的改革を

小池都知事は「これまでも、ガイドラインを作ったり、校内研修を行ってきたりしている。そういう中で、こういう事態が発生したことについて、私も残念に思う」と述べているのですが、そんなワイドショーのコメンテーターみたいな事ではなく、本質に沿って環境整備を進めないと、生徒も教員も、そして都立高校も皆が不幸になってしまうという思いで、教育長と今後の方向性を定めて頂きたいと思うのです。良い教員が精神的にタフだという事はありません。

これを機に「体罰」と「教育的指導」の定義付けを日本全体で行うべきだ。人や社会の盛り上がり方で、その都度、基準が動く今のあり方は皆を不幸にするだけです。殴るのは論外だが、最近では言葉の暴力もあるからこそ、教員の質が上げる為にも、堂々と気持ちよく従業が出来る環境を教育委員会と議論し前に進めていきます。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2019年1月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。

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川松 真一朗
東京都議会議員(自由民主党、墨田区選出)

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