自宅で女性に性的暴行をしたなどとして、警視庁は1日夜、俳優の新井浩文容疑者(40)を強制性交の容疑で逮捕した。2015年には日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞するなど、テレビ、映画でも際立った存在感を放つバイプレイヤーとして活躍していただけに、ネット上でもWikipediaの荒らし騒動が起きるなど反響を呼んだ。
新井容疑者は1979年、青森県弘前市生まれ。芸能界では珍しく在日コリアン3世であることを公表していることでも知られる。2006年に映画初主演作となった「ゲルマニウムの夜」がソウル映画祭に出品された際には、
「韓国映画で日本語を話す俳優が必要ならば韓国映画に出演する意思がある。次に韓国に来るときには、一回り成長した俳優として韓国人と会いたい」
と抱負を語っていたという(出典:2006年9月19日 聯合ニュース)。
毎日新聞は新井容疑者の逮捕報道で、
自宅で女性に乱暴したとして、警視庁捜査1課は1日、強制性交の疑いで俳優の新井浩文(本名・朴慶培(パクキョンベ))容疑者(40)=東京都世田谷区太子堂=を逮捕した。
と「本名」も明記している(太字は筆者注)。
一方、朝日新聞の19時過ぎの速報段階では、
女性に性的暴行を加えたとして、警視庁は1日、俳優の新井浩文容疑者(40)=東京都世田谷区太子堂3丁目=を強制性交の疑いで逮捕し、発表した。
などと記載して通名のみにとどめている。
こうした経緯を知るネット民で、心無い人たちが新井容疑者に差別的なコメントをしているが、そうした風潮に対し、
新井浩文さんがトレンドになってますが、やたらと韓国人とか在日とかレッテル貼りをする人が多くて、嫌になる
と嫌悪感を示す意見も多く見られた。
一方、新井容疑者が2005年に戸籍に届けている国籍を「朝鮮籍」から「韓国籍」に変更していた経緯から、一部で「北朝鮮系」のコリアンだと決めつけている人もいるようだ。戸籍制度に詳しくない人が「朝鮮籍」と聞くと、北朝鮮系のコリアンが韓国に国籍を変えたように思うかもしれないが、誤解だ。在日コリアン3世の投資家、H.S. Kimさんがツイッターで戦後日本の行政の国籍取り扱いについて解説している。
「新井浩文さんは北朝鮮籍だった」 https://t.co/o0sZ2SBHLm
北朝鮮籍の在日などいない。朝鮮籍は戦後すべての在日に与えられた枠で国籍ではない。南北分断独立後、韓国籍(国籍)ができた。朝鮮籍のままの在日は国籍がなくパスポートを取れず海外旅行できないので韓国籍を取るか帰化する者が多い。— H.S. Kim (@xcvbnm67890) 2019年2月1日
→ 在日の97%は南部(今の韓国)出身で、終戦時にいた200万人中120万人は日本人出兵による内地の労働力不足で渡航規制が緩和された1939~44年に合法的に来日した。戦後の済州島からの密航は10%以下。戦後日本に残った者(200万人中60万人)は南部出身にも拘らず皆まず在日朝鮮人(朝鮮籍)となった。 pic.twitter.com/0gOOcVwiUo
— H.S. Kim (@xcvbnm67890) 2019年2月1日
→ 1938年までに来た80万人の半分の40万人が合法として1939年~の120万人の合法と合わせると200万人中160万人が合法。残った60万人の多くが合法と言って良いだろう。以上過去に何度か呟いたが誤解が多い(在日は皆密航、在日朝鮮人は北朝鮮籍等)のと新しいフォロワーもいるので年に一度は再発信する。
— H.S. Kim (@xcvbnm67890) 2019年2月1日
Kimさんの解説に対し、フォロワーからは「なるほど」と感心するとともに
そうなんですか。複雑ですね…
「朝鮮籍」と「北朝鮮国籍」の違いが分からない人はかなりいます、というより、ほとんどの人が知らないような。
といった反応を示していた。
なお、「朝鮮籍」は「中国籍」と似たような位置付けだ。アゴラがかつて追及した蓮舫氏の二重国籍問題では、日本の国籍制度の「中国籍」が注目された。これは戦後、中国が中華人民共和国と中華民国(台湾政府)に実態として別れてしまったが、日本政府が「二つの中国」を外交上の建前として認めていないため、便宜的に「中国籍」という形にして中国と台湾の人が“どちらとも解釈できるよう”に配慮したものを今日まで使用している。