渡瀬裕哉氏は『丁寧な無視』を酷く曲解している

2019年02月11日 17:00

アゴラで渡瀬裕哉氏が『「天皇陛下への暴言」は「丁寧な無視」の対象になるのか?』『 韓国に対し「丁寧な無視」という悪手を繰り返す日本』という投稿をされ、小野寺五典前防衛相や外務省の対応を批判しておられるが、これは、いささか度が過ぎた曲解であると思う。

静岡県立大サイト、BS朝日サイトより:編集部

私もそれに先だって『小野寺前防衛相の「丁寧な韓国無視」は正しい』という記事を書いているのできちんと指摘しておきたい。

まず、小野寺氏の発言は以下の通りである。

韓国に対してはどうしても(間違いを)認めませんから。認めたら韓国の政権自体がたぶん大変なことになるんじゃないかと思いますので。これだけ痛々しい言い訳をしている、ここをいくら泥仕合をやっていても同じことですので、むしろ国際社会に韓国に冷静に抗議をし、あとは韓国がいろんなことを言っても『丁寧な無視』をしながら国際世論の中で『これは勝負あった』ということにすることなんだと思う。

日本政府は、これまでなら、最初から韓国の面子を潰さないように穏便にことを収めてきた。しかし、こんどはあまり酷いので、若干は機密を外に出してしまうことになるが、危険を少し冒してでも動かぬ証拠を突きつけ、その結果として韓国は、「これだけ痛々しい言い訳をしている」のである。

そして、これ以上、証拠を突きつけようが、厳しく抗議しようが、「認めたら韓国の政権自体がたぶん大変なことになる」から、認めるわけもない。一方、国際社会が日本の言い分に圧倒的に分があることを理解するには十分な状況にあるから、あとは、韓国がいい加減な弁解をすればするほど苦しくなるようにしておいた方が効果があるということである。

それに対して、渡瀬氏は次のように言う。

しかし、「丁寧な無視」方針は相手国にとっては日本側の反論がトーンダウンするというニュアンスも与える。また、実際には、防衛省が韓国艦船からのレーダー照射の証拠の一部を開示して実務者協議打ち切りを宣言した際の継続的な対応とも言える。結果として、前回の場合、韓国は日本側が過剰に反論しないことを理解した上で、日本の哨戒機の威嚇行為などをでっち上げて泥仕合化に持ち込み、今回も同様の趣旨の発言を繰り返しつつ、更に国会議長が慰安婦問題で天皇陛下の謝罪を求めるに至っている。(既に慰安婦合意の際に日本政府が軍の関与を認めて、安倍首相が心からお詫びと反省の気持ちを伝えているので、それよりも上の存在は天皇陛下しか残っていない。)

だが、協議打ち切りという厳しい措置を日本側の主張がトーンダウンしたと誰がとるのだろうか。韓国の大衆世論などなにをいっても同じだからどうでも良い。文在寅政権の弁解はいかになんでも見苦しいと思うそれなりの良心派が、じわりと増えればいいのである。

そして、「丁寧な無視」が「国会議長が慰安婦問題で天皇陛下の謝罪を求める」ことにどこでつながったのかさっぱり理解できない。

河野太郎外相はすでに、「発言には気をつけていただきたい」と苦言を呈し、それは、外務省のホームページにも載っている。

だいたい君主に対する侮辱を表だって大騒ぎして、なんのメリットがあるのか。もちろん、日本の世論が韓国の非常識に厳しく反応するのは当然だ。しかし、それを皇室や政府が感情的に取り上げてもなんら生産的な意味はない。慇懃無礼に皮肉言うだけで十分だ。あとは、この議長が訪日したいとか、韓国の要人が日本に来ても皇室関係者には会わさないとかいうことでいいのである。

それに、昭和天皇の戦争責任についての議論を蒸し返して、韓国と喧嘩して日本にとっていいことがなにかあるのだろうか。

「(外務省は)日本の国益を増進することが任務としているのだから、本件に対する韓国への抗議ほど分かりやすい当該任務は他にはないだろう」

とかいうことにどうしてなるのか分からない。

また、渡瀬氏は次のようにもいう。

筆者は韓国国内の親日的な勢力が政権を奪うことで日韓関係が改善することを願うものである。しかし、上記の理由から韓国に対する「丁寧な無視」は愚策であり、同国に積極的な反論や制裁措置を実施するべきであり、韓国軍台頭に関する「事前の予防措置」はいかなる場合でも講じるべきものと考える。

だが、昭和天皇や今上陛下に関して騒ぐことが、韓国国内の親日的な勢力が政権を奪うことに繫がるとはとうてい思えない。

それよりも、日本人自身が韓国について正しい認識をもち、欧米など世界に対しての情報戦で賢く行動し、韓国は丁寧に無視しておくのがもっとも賢明なのである。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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