韓国国会議長の無礼発言、ナメたら日本がヤケドする

2019年02月20日 06:00

議長の強気発言の根拠を知るべし

韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は天皇陛下を「戦争犯罪人の息子」などと屈辱する発言をしたことで、18日、記者から撤回や謝罪をするつもりはあるかと問われたのに対し、「撤回や謝罪する考えはない」と答えた。その他にも、文議長は「謝罪すべき側(日本)がせずに、私に謝れとは何だ。盗っ人猛々しい」と言い放った。もはや、我々日本人の我慢も限界だ。文議長に対する批判が巻き起こっているのは当然であろう。

文喜相氏公式サイト、韓国大統領府FBより:編集部

しかし、私は同日、文議長の付言した「戦争や人道に関連した犯罪には時効がない」との一言に脅威を感じる。一部の有識者は「時効というものの意味がわかっていない」などと、文議長をバカにしたようなことを言っているが、警戒心も足りなければ、彼らの恐ろしさも理解していないように見える。腹が立つからといって、相手をバカにして、罵るだけでは何もはじまらない。

文議長がこういう発言をするには、根拠がある。人道犯罪に時効はないというのは事実である。1968年の第23回国際連合総会で、「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約(Convention on the Non-Applicability of Statutory Limitations to War Crimes and Crimes against Humanity)」が採択されている。韓国がこういうものを振りかざして、「不法な植民地支配」を人道犯罪と結び付けて訴えれば、左翼勢力が蠢く国連委員会などがどう転ぶか、わかったものではない。

私はいつも主張しているが、日本政府はこういうことにキチンと備えをしているのだろうか。昨年の10月の徴用工判決が出た時も、日本政府は「青天の霹靂」などと言って慌てた。あのような判決が出ることはずっと前から想定されていたことだったが、日本政府に充分なシミュレーションがあったようには思えない。

また、日本人の多くはこの問題に関し、国際世論が日本に味方してくれると信じて疑っていないように見えるが、オメデタイことだ。国際世論など悪意の塊のようなもので、正論が通じた例などない。韓国をバカにしてモノを言うのは少なからず、こういうオメデタイ前提があるからだろう。あまりに危機感が希薄だ。

ところで、文喜相国会議長は元々、金大中大統領に見出だされ、政治の世界に入った(苦労人の金大中は人を見る目が異様に発達していた)。そして、盧武鉉大統領の秘書室長として剛腕を鳴らした相当なタマである。盧武鉉時代、青瓦台で文在寅大統領が直接に仕えた上司に当たる。文大統領とは以心伝心の仲であり、昨今の天皇陛下に対する屈辱発言など、政権の意向を背景に行っていると考えられる。

日本はどうすべきか?

人を見かけで判断してはならない。文議長は頭のキレる人物だ。「戦争や人道に関連した犯罪には時効がない」という国際法のテーゼに「戦争犯罪人の息子=天皇」を結び付けている。我々日本人からすれば怒り心頭であるが、これは巧妙な戦略である。天皇陛下を持ち出された時点で、日本はもはや、お手上げ状態だ。「時効不適用」のテーゼがある限り、天皇陛下にまで実際に問題が及ぶリスクはゼロではない。政府・外交関係者はそのリスクを理解しているから手が出せない。文議長はそこを突いている。極めて悪質だ。そして、深刻だ。

韓国は徴用工裁判でも、日本の「不法な植民地支配」によって傷つけられた人権・人道問題への補償という新しい争点設定を持ち出してきている。1965年の請求権協定で規定された通常の民事的な枠組みとは別に、韓国は徴用工問題を人権や人道犯罪の係争にすり替えて、訴えているのである。そして、遂に、天皇陛下を持ち出してきた。

河野外相の韓国に対する物言いが弱いということで批判されているが、強く言えない事情というのがここだ。小野寺前防衛相が「丁寧な無視」と述べたが、これが一番良いだろう。

アゴラでお馴染みの八幡和郎氏は2月11日の記事で、「昭和天皇の戦争責任についての議論を蒸し返して、韓国と喧嘩して日本にとっていいことがなにかあるのだろうか」と述べているが、ここに問題の核心がある。天皇陛下に問題が及びかねない土俵を敷かれてしまった。これまでと次元の違う話になっていることを認識せねばならない。政府・外交関係者たちも、経験上、これ以上、問題に踏み込むことに、リスクを感じているはずだ。

外交は時と場合によっては、正論や原則が通用しない局面がある。交渉実務者はこういう機微を理解しているものだ。弱腰だと言って批判するのは簡単であるが、事態はそう簡単ではない。私はここ最近の河野外相の外交手腕の絶妙さを高く評価している。

今このタイミングで、日本側から強硬に仕掛けても、何も良いことはない。文大統領の反日政策に支持が集まり、政権の求心力を高めさせる結果にもなる。しばらく、様子見だ。今後、反撃の機会はいくらでもある。今は小野寺前防衛相の「丁寧な無視」が上策である。

そして、日本が今、やるべきことは短期的には、韓国と国際訴訟になった時に充分に備え、理論武装と証拠・資料集めを徹底しておくことである。韓国は徴用工裁判の結果を踏まえ、日本企業の資産をいよいよ強奪しようとしている。

そして、長期的には、これを機に、日本は国防体系を抜本的に見直すべきである。もちろん、これには憲法改正も含まれ、さらに、法律でも何でもない無意味な「非核三原則」など、早々に捨て去ることも含まれる。他国から、こんな屈辱を受ける辱しめを次の世代に負わせない、このことが重要である。

こうしたことを以下の松田学・東京大学大学院客員教授との対談動画でも話をさせて頂いた。御高覧頂ければ幸いである。

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